ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

少子高齢化社会の問題解決へ 総合型スポーツクラブを考察(スポーツ健康学部スポーツ健康学科 清雲栄純教授ゼミ)

  • 2014年05月08日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

自由な実践・座学研究を通じ地域貢献の姿勢を養う

前列左から、阿部雅人さん(ゼミ長)、清雲栄純教授、梅田千穂さん。後列左から、沼尻健さん、相馬將夏さん、吉澤建人さん。(全員、スポーツ健康学部4年)

前列左から、阿部雅人さん(ゼミ長)、清雲栄純教授、梅田千穂さん。後列左から、沼尻健さん、相馬將夏さん、吉澤建人さん。(全員、スポーツ健康学部4年)

高齢者医療の改善や地域コミュニティーの創出など、少子高齢化による社会福祉問題を解決する一助と期待されている総合型地域スポーツクラブ(以下、総合型クラブ)。清雲ゼミではその育成について、NPO法人・法政クラブ(※)に関するアンケート調査、Jリーグクラブチーム・川崎フロンターレのイベント「川崎フロンパーク」運営支援と、実践的研究を行っていることが特徴です。

「総合型クラブが地元に不可欠な存在として認められ、機能する難しさを知りました」と、法政クラブの調査について振り返るのはゼミ長の阿部さん。調査ニーズの把握からアンケート集計後の分析までゼミ生全員で議論を重ねて実施し、その結果を基に阿部さんが代表して法政クラブへ利用者数増に向けた改善策をプレゼン。「提案内容は実施済みのものばかりでした」と悔しさをにじませますが、法政クラブからは「調査分析は当クラブの在り方を再考するきっかけを与えてくれる内容だった」と講評を得ました。

周辺住民の200人を対象に行った法政クラブに関するアンケート。収集場所の厳選や声掛け時の主旨説明にも工夫を凝らしたことで、効率的・有効的な調査を実現した

周辺住民の200人を対象に行った法政クラブに関するアンケート。収集場所の厳選や声掛け時の主旨説明にも工夫を凝らしたことで、効率的・有効的な調査を実現した

「法政クラブで概念を学べるとすると、川崎フロンパークでは実運営の一部に携わり、総合型クラブについて経営面からとらえることができます」と、スポーツビジネスへの関心から入ゼミした吉澤さん。「本場・欧州でさえ経営破綻するクラブチームもある中、運営に成功していると言われる川崎フロンターレの、地元企業との連携の仕方は特に勉強になりました」。

「将来どんな職業に就いても『地域』の視点は欠かせません。ゼミ生には、研究でいかに社会・地域に貢献できるかという姿勢を養ってもらいたいと思っています」と清雲教授。梅田さんは地元・東北に、「スポーツやクラブチームをエンターテインメントとして活用し地元自身が盛り上がることが、これからは必要」と思いを寄せます。実践研究と同時に、ゼミ生が分担し各クラブチームを自由に考察する座学研究にも取り組むことで、「経済面とは異なる被災地復興の視点を得ました」と収穫について語ります。

ゼミ活動が自主性に任されていることにより、「達成感を得ながら研究を進められますし、社会生活で必要とされる課題も自ら発見できます。僕自身は他者の話に耳を傾ける姿勢を身に付けられました」と話す沼尻さんに続き、「ゼミ活動をつい頑張ってしまうのは、みんな“清さん”が大好きで裏切れないからかな」と言って笑うゼミ生たち。

プロサッカー選手を目指す相馬さんは「“清さん”の言葉は一つひとつが心に響く。ゼミに参加しているだけで夢への力ももらっています」と師への思いを語ります。

※地域社会に開かれた大学を目指して2010年に本学教職員が創設し、多摩キャンパスを拠点に各種スポーツ教室を開講している総合型地域スポーツクラブ。本学からスポーツ指導者の派遣なども行っている。

(初出:広報誌『法政』2014年度4月号)

展示支援や露店販売など、イベント運営スタッフの一員として参加した川崎フロンパーク。清雲教授がかつてJリーグクラブチームの監督を務めていたことから機会を得ている((c) 川崎フロンターレ)

展示支援や露店販売など、イベント運営スタッフの一員として参加した川崎フロンパーク。清雲教授がかつてJリーグクラブチームの監督を務めていたことから機会を得ている((c) 川崎フロンターレ)

昨年8月に千葉県・館山で行った夏合宿。合宿では敢えてレクリエーション中心の内容で実施。ゼミ生同士の仲が深まることが、ディスカッションや調査の深化につながっている

昨年8月に千葉県・館山で行った夏合宿。合宿では敢えてレクリエーション中心の内容で実施。ゼミ生同士の仲が深まることが、ディスカッションや調査の深化につながっている