ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

ナノ粒子スラリーを構造制御し地球環境と産業発展に貢献(生命科学部環境応用化学科 森隆昌准教授研究室)

  • 2014年01月23日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

「なぜ?」を追求し論理的思考力を養成

前列左から、北村研太さん(大学院理工学研究科応用化学専攻1年)、森隆昌准教授、大内奎さん(生命科学部環境応用化学科4年)。後列左から、江良勇亮(生命科学部環境応用化学科4年)、宮前隆弘(生命科学部環境応用化学科4年)、村松卓也(生命科学部環境応用化学科4年)

前列左から、北村研太さん(大学院理工学研究科応用化学専攻1年)、森隆昌准教授、大内奎さん(生命科学部環境応用化学科4年)。後列左から、江良勇亮(生命科学部環境応用化学科4年)、宮前隆弘(生命科学部環境応用化学科4年)、村松卓也(生命科学部環境応用化学科4年)

環境粉体工学実験室として、ナノレベルの粒子が分散した液体「ナノ粒子スラリー(分散液)」を研究している森研究室。液中の粒子が凝集・分散する構造の分析と自在なコントロールを目指しています。

ナノ粒子スラリーに相当する化学薬品は医薬品や工業品などあらゆる製品に用いられていますが、「電気の力で粒子を凝集させることができれば、これまで廃棄していた粒子を再利用できると期待されているんですよ」と説明するのは江良勇亮さん。江良さんが取り組む「電極による粒子制御」も、「化学薬品を使わず汚染水処理ができるようになりますし、レアメタルなど資源回収にも役立つと言われています」と、未知の可能性を秘めています。

研究手法は、沈降静水圧測定や浸透圧測定などの独自の方法を用いて液中での粒子集合状態を評価していきます。「予想に反する結果が出ることもありますが、『なぜ?』を追求し、考え、試行していくプロセスが楽しいです」と、他のゼミ生からも研究熱心と評される村松卓也さん。北村研太さんは「材料を厳選・調整し製品へ組み立てていくこの分野は化学工学と言われ、モノづくりの中心に携われます」と研究意義を話します。独自の考えを打ち立て、論証するために膨大な実験や資料調査が要されることもありますが、「無駄な知識はありません」と北村さん。大学院生となった今春に化学工学会で受賞した研究(※)にとどまらず、現在は「新たなテーマで産業化に結び付く研究開発を進めています」

10月中旬に開いた食事会にて。研究室は和やかな雰囲気で、雑談から研究に関する内容までいつも話は尽きない。研究室では「セミナー」と呼ぶ報告会のほか、勉強会なども開催

10月中旬に開いた食事会にて。研究室は和やかな雰囲気で、雑談から研究に関する内容までいつも話は尽きない。研究室では「セミナー」と呼ぶ報告会のほか、勉強会なども開催

「学生には研究を通し、根拠とプロセスを明確にした論理的思考力を磨いてほしいと思っています。コミュニケーションの基本ですから」と森准教授。あらかじめ鍛錬の場として森研究室では、学生が成長できる条件での企業との共同開発プロジェクトも設けられています。

進行中のプロジェクトは2つ(提携手続き中の数件は除く)。メーカーとの燃料電池に関する共同研究に参加している大内奎さんは、「先生の企業訪問に同行しディスカッションを聞くだけでも、知識はもちろん、考える力や多角的な視点を得られていると感じています。研究が一層楽しくなりました」と自らの変化を実感しています。

「研究室全体の活動を通じて、社会性を身に付けることもできました」と、続けて宮前隆弘さん。ゼミ仲間と接する中で何かの役に立ちたいと、自ら森研究室の広報と庶務を担当。「研究内容とともに、社会で生かしたいと思っています」と、就職予定の道路整備企業での活躍も視野に、さらに研究室での活動に力を入れています。

※「フロンのリサイクルプロセスと冷却システムへの応用」。「化学工学会盛岡大会2013」で学生賞を受賞した。

高性能濾過装置で実験する学生。企業との共同研究プロジェクトにおいては、必要に応じて企業内の最新機器で実験することも可能

高性能濾過装置で実験する学生。企業との共同研究プロジェクトにおいては、必要に応じて企業内の最新機器で実験することも可能

10月下旬に出展した「INCHEM 東京」にて。展示会や各種大会への積極参加に対し「モチベーションの一つになれば」と話す森准教授も、これまで多くの研究賞を受賞している

10月下旬に出展した「INCHEM 東京」にて。展示会や各種大会への積極参加に対し「モチベーションの一つになれば」と話す森准教授も、これまで多くの研究賞を受賞している