ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

古典的な社会学理論を用い国内外の社会問題に向き合う(社会学部メディア社会学科 鈴木宗徳准教授ゼミ)

  • 2013年12月12日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

夏合宿の現地調査で実社会に通じる研究を追求

前列左から、村上美帆さん(社会学部社会政策学科2年)、鈴木宗徳准教授、小川一馬さん(ゼミ長・社会学部社会学科3年)。後列左から、齋藤道明さん(社会学部社会政策学科2年)、志田圭将さん(社会学部社会学科4年)、仲江彩夏さん(社会学部社会政策学科4年)

前列左から、村上美帆さん(社会学部社会政策学科2年)、鈴木宗徳准教授、小川一馬さん(ゼミ長・社会学部社会学科3年)。後列左から、齋藤道明さん(社会学部社会政策学科2年)、志田圭将さん(社会学部社会学科4年)、仲江彩夏さん(社会学部社会政策学科4年)

鈴木ゼミは現代のあらゆる社会問題について、古典的な社会理論が築き上げてきた概念枠組みを用いて考察しています。最大のイベントは夏合宿で行うフィールドワーク。「理論を研究しながら、いま現実に起こっている社会問題にも向き合ってほしい」という鈴木准教授の思いから、毎年実施されています。

調査はアクチュアルなテーマを設定し、関係機関へインタビューを行うスタイル。2年生が中心となり、春学期をかけて課題発掘から調査先の選定・依頼までを準備し、本番のインタビューに臨みます。

今年は「日雇い労働者」をテーマに大阪・釜ヶ崎地区の6カ所の施設・機関を訪問しました。「大学生活では社会人の方と接する機会は多くありませんし、ましてや取材をすることはありません。誰に何を聞くためにどのように進めるのかといった座学とは異なる学びができました」と2年生の齋藤道明さん。同じく2年生で、児童福祉施設を担当した村上美帆さんは、「自治体の補助金削減による施設の存続危機が発生し、インタビュー当日もどうなるか分からない状態でした。リアルな問題ならではの難しさがありましたが、国家規模の問題であることも知ることができましたし、生の声を聞けたことで何事も当事者意識でとらえるようになりました」と話し、秋学期以降の個人研究では格差問題のさらなる追求を目指しています。

鈴木准教授(前列中央)と、互いについて「真面目すぎるのではないかと思うほど研究熱心」と口をそろえるゼミ生たち。2013年度は4年生7人、3年生5人、2年生12人が所属

鈴木准教授(前列中央)と、互いについて「真面目すぎるのではないかと思うほど研究熱心」と口をそろえるゼミ生たち。2013年度は4年生7人、3年生5人、2年生12人が所属

ドイツ思想の古典であるフランクフルト学派を研究する志田圭将さんは、「夏合宿の旅行は自分がそれまで気付かなかった問題に目を向けるきっかけとなっており、自身の研究テーマにとどまらず広く学ぶことができています」と話します。志田さんは、今回の旅行で子どもの学ぶ権利に関心を持ちました。現在は卒業論文の執筆を進めつつ、鈴木ゼミ主催で12月16日(月)に予定している奨学金に関する講演会の準備にも積極的に取り組んでいます。

各自がそれぞれの関心と結び付け、座学と実学の両面から社会への理解を深めている鈴木ゼミ。ゼミ長の小川一馬さんは、ゼミについて「古典的社会学理論は問題の新旧や分野に関わらず応用でき、思考力を身に付けることで形にとらわれない物の見方ができるようになるのが面白さの一つ。また、ゼミ仲間の研究意欲が高く、刺激し合えることも特徴と言えるかもしれません」と表現。「卒業後は労働問題について学んだ知識を、就職予定の独立行政法人で雇用支援に生かしたいと思っています」と目を輝かせる仲江彩夏さんをはじめ、鈴木ゼミでの研究は社会へも広がりを見せています。

今年の夏合宿で訪れた、日雇い労働の斡旋を行う「あいりん総合センター」にて。調査内容は秋学期、2つのグループを組んでさらに研究を深め、11月の学部研究発表会で報告予定

今年の夏合宿で訪れた、日雇い労働の斡旋を行う「あいりん総合センター」にて。調査内容は秋学期、2つのグループを組んでさらに研究を深め、11月の学部研究発表会で報告予定

昨年12月のOB会。卒業生はメーカーや教育サービス企業、公務員、大学院生など多彩。在学中のゼミ生には先輩から社会のさまざまな話を聞ける貴重な機会になっている

昨年12月のOB会。卒業生はメーカーや教育サービス企業、公務員、大学院生など多彩。在学中のゼミ生には先輩から社会のさまざまな話を聞ける貴重な機会になっている