ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

便利で安心なネットワーク環境へ 新手法の構築に挑む(情報科学部コンピュータ科学科 廣津登志夫教授研究室)

  • 2013年11月07日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

失敗を恐れず研究し、本質を見抜く力を養う

前列左から、諏訪真理さん(情報科学部コンピュータ科学科4年)、廣津登志夫教授、太田麗二郎さん(大学院情報科学研究科情報科学専攻2年)。後列左から、竹中優さん(情報科学部コンピュータ科学科4年)、光吉寛生さん(情報科学部ディジタルメディア科学科4年)、橋本亮太さん(情報科学部コンピュータ科学科4年)

前列左から、諏訪真理さん(情報科学部コンピュータ科学科4年)、廣津登志夫教授、太田麗二郎さん(大学院情報科学研究科情報科学専攻2年)。後列左から、竹中優さん(情報科学部コンピュータ科学科4年)、光吉寛生さん(情報科学部ディジタルメディア科学科4年)、橋本亮太さん(情報科学部コンピュータ科学科4年)

今や日常に欠かせない社会基盤の一つ、インターネット。廣津研究室はコンピュータネットワークシステム全般を対象領域に、所属する学部生15人、大学院生2人が研究に取り組んでいます。

廣津教授の専門でもあるセキュリティ分野において、アカウントが第三者に不正使用される「踏み台攻撃」の研究をするのは橋本亮太さん。仮想ネットワークを構築し、不正なアクセスだけの検出を試みています。「この方法を確立できれば、誤認逮捕の問題を防げますし、セキュリティソフトを絞り込みユーザビリティも向上できると考えています」と研究意義を話します。

「サービスの使いやすさの一つは動作の速さ。複数台の計算ノードで効率よく情報を処理するシステムの開発を行っています」と語る竹中優さんの研究は、近年注目を集める「ビッグデータ」。「巨大で複雑なデータの計算では、ノードを増やすとむしろ動作が遅くなる場合もあります」と、一筋縄でいかない内容を説明。就職予定の企業で「チャンスが訪れた時に成果を生かせるように」と、研究の成功に熱を上げます。

学生の研究は多種多様ですが、「研究室としては現在、仮想ネットワーク技術“Software-Defined Network”(※)に着目しています」と廣津教授。常に最新の技術を取り入れるその姿勢は、「失敗を乗り越えてこそ得られるものがある。研究を通し、挑戦し続ける姿勢を身に付けてほしい」という学生への思いにあります。

藤田研究室と行った、富士セミナーハウスでの合同合宿。合宿はレクリエーションが中心だったが、研究内容が近い藤田研究室生と話せる貴重な機会になった学生も

藤田研究室と行った、富士セミナーハウスでの合同合宿。合宿はレクリエーションが中心だったが、研究内容が近い藤田研究室生と話せる貴重な機会になった学生も

「従来の安定的な方法ではなく、敢えて日常に近い状態でのデータ収集を試みました」と研究ポイントの一つについて話す、大学院生・太田麗二郎さん。この研究は新手法などの成果も認められ、3月の情報処理学会で大会奨励賞を獲得しました。「学会発表での専門家からの多様なご指摘と、それに対する考察が受賞に結び付いたのかもしれません」と、大学院ならではの学びを語ります。

大学院生の存在は、研究室全体にも良い影響をもたらしています。「納得した未来を歩むためにも大学院に進学する予定です」と光吉寛生さん。「大学院生は学部生のどの研究課題に対しても核心をついた指摘ばかり。私も本質を見抜けるくらいまで研究を深めたいと思っています」と、近い未来に目を輝かせます。

また、「大学院生がいるからこそ、研究室はいつもアットホームな雰囲気なんですよ」と加える諏訪真理さん。「先生へはためらってしまう質問でも年が近い院生になら気軽に聞くことができる。そこから複数人で研究について話し合うこともあります」と、研究室らしいエピソードを最後に紹介してくれました。

※ネットワークを構成する通信機器から通信制御の機能を切り離すことで、目的に応じたさまざまなネットワークを柔軟に構築・制御する技術。現在、情報科学分野で盛んに開発がすすめられている。

「研究所の中でも一流の企業にいらっしゃった廣津先生は、深く広い知識に加え、研究に対する姿勢や締切厳守といった社会性など、学べることが多い」と学生たち

「研究所の中でも一流の企業にいらっしゃった廣津先生は、深く広い知識に加え、研究に対する姿勢や締切厳守といった社会性など、学べることが多い」と学生たち

受賞研究「Android 端末による位置情報の推定」で、センサーによるデータ収集のため小金井キャンパスを歩く太田さん。市街地でも、同じ場所を何度も歩き検証した

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