ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

白熱教室による徹底議論で法律問題を哲学する(文学部哲学科 内藤淳准教授ゼミ)

  • 2013年10月03日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

民主主義のゼミ運営で学生主体の研究を促進

前列左から、木村駿さん(4年)、内藤淳准教授、金井梨沙さん(4年)。後列左から、山本泰久さん(4年)、今田貴也さん(3年)、小出悠平さん(3年)。全員文学部哲学科

前列左から、木村駿さん(4年)、内藤淳准教授、金井梨沙さん(4年)。後列左から、山本泰久さん(4年)、今田貴也さん(3年)、小出悠平さん(3年)。全員文学部哲学科

ゼミ設立からわずか数カ月にもかかわらず、毎回、白熱した議論を繰り広げている内藤ゼミ。「法律は社会にどのような影響を与えているか」「法律はどうあるべきか」といった法律の諸問題を哲学的に考察する「法哲学」を研究しています。

「憲法9条のような身近な問題を、仲間と議論しながら考えを深めたい」と内藤ゼミに入った小出悠平さん。「哲学科へ入学当初は『愛とは何か』『生きるとは何か』といった問いを模索したいと考えていました。現在の研究対象は法律ですが、趣味・思考の比較ではなく他者と論理的に意見を交わし、自らの客体化もできるところが法哲学ならではの面白さ。自らの感情の動きさえも『なぜそう感じるのか』と考えるようになりました」と、研究成果を語ります。研究の上で内藤ゼミが重視するのは「わからないことを大切にする」こと。金井梨沙さんは「意見する時は“何を根拠に、どういう理論で”という論理構成が求められます。ゼミは1分1秒が有意義。漠然としていた疑問を明らかにし理解を深めていくプロセスは爽快感があります」と話します。

対談形式の文献を用いることで、事前に自らの意見を明確化し臨めるゼミ。報告者の発表後、まず質問担当者が代表質問することも、ゼミ開始直後からの議論深化を促進している

対談形式の文献を用いることで、事前に自らの意見を明確化し臨めるゼミ。報告者の発表後、まず質問担当者が代表質問することも、ゼミ開始直後からの議論深化を促進している

春学期は、『これが憲法だ!』(朝日新聞社)をテキストに文献講読を行いました。

「憲法改正に関する回では、特に充実した議論を行えました」と振り返る山本泰久さん。「多くのゼミ生が『憲法の基本原理はこれまで通り遵守し、憲法判断の仕組みや統治機構は変革の必要がある』という意見で一致しましたが、実は一人ひとり原理遵守の理由も変革を必要とする根拠も違ったのです。内藤先生が導き気づかせてくださいました」。得意のディベート力を生かして複数社の内定を得た山本さんですが、「内藤先生のファシリテーション力は本当にすごい。哲学は実際的な学問ではないと言われますが、内藤ゼミなら得られるものがたくさんあります」と語ります。また、公務員を目指す今田貴也さんも、「必要に応じて内藤先生に説明していただく法解釈や学説解説も多角的な見方の気づきになりますし、僕の場合は試験勉強の弾みにもなっています」と、将来にもつながる学びに意欲を示します。

精力的に実践するゼミについて、「ゼミが面白い上、運営は完全な民主主義で、内藤先生は僕たちゼミ生の意向を尊重してくださる。だから物理的な障害がない限り4年生も全員が必ずゼミに参加しているんですよ」と言うゼミ長の木村駿さんは、内藤准教授の研究対象でもある倫理学をテーマに卒論制作にも励んでいます。「ゼミの主眼は学業」という内藤准教授の思いを受け取り、ゼミ生たちは研鑽を続けています。

8月上旬に初めて開催した懇親会。民主主義の精神を生かして、懇親会や合宿も学生が不要と感じれば行わない方針の内藤ゼミ。「この距離感がいい」とゼミ生たち

8月上旬に初めて開催した懇親会。民主主義の精神を生かして、懇親会や合宿も学生が不要と感じれば行わない方針の内藤ゼミ。「この距離感がいい」とゼミ生たち

学生主体のゼミ運営が表れているかのように、ゼミ生が中心に位置する集合写真。個性の強さと多様性が、活発な議論と居心地の良い環境を育んでいるそう

学生主体のゼミ運営が表れているかのように、ゼミ生が中心に位置する集合写真。個性の強さと多様性が、活発な議論と居心地の良い環境を育んでいるそう