航空エンジン・水循環の環境対応型装置を研究開発
林研究室では航空機からの大気環境汚染物質の削減を目的とし、クリーン燃焼技術の研究を進めていますが、並行して、密接に関連する燃料の微粒化技術や研究を行う上で不可欠な噴霧流れや燃焼場における粒子や流体のレーザー計測技術の研究も進めています。
この「反応流体力学」と呼ばれる研究領域において、多くの学生が興味を寄せるのが「ジェットエンジン燃焼器」です。航空部でグライダーを操縦している経験からエンジンに興味を持ったのは岸本七海さん。「巨大さとは対照的な構造の精緻さは想像以上でした」と、研究意欲がより増した3年生のゼミでの研究発表『ボーイング787の最新エンジン2種比較』を振り返ります。「2機種のエンジンの外観や部品の形状は似ていますが、実績や経験、あるいは設計思想の違いなどさまざまな理由で使用されている素材や細部の構造には違いが出ることを知りました」という大槻龍之介さんは、「林先生はいつも僕たち学生の興味や疑問を引き出してくださいます」。環境問題にも興味がある高橋百合子さんは、「航空機は空気の薄い高度で大気中にエンジン排気を排出するので、地球大気への影響という点では、自動車等の排気よりも影響が大きい可能性があると言われています。疑問を掘り下げることで、航空全体の知識も得られました」と話します。
本格的に航空エンジンの研究に取り組みたい学生には、林教授が客員研究員を務める宇宙航空研究開発機構(JAXA)のプロジェクトに参加するチャンスも用意されています。「環境対応の最新型エンジンを開発し、社会に貢献できる研究者になりたい」と語る江口貴広さんもこの4月、メンバーの一人として加わることが決まりました。「今はやりたいことよりもできるようになるべきことを積み重ねたいです」
一方、林研究室では「ジェットエンジン燃焼器」とは全く関係ない課題に挑戦する学生もいます。小畑和之さんは流体力学分野の水処理循環システムを研究しています。「密度が水とほとんど違わない沈降物質を、水の流動を工夫することで自動除去する装置の開発を目指しています」と小畑さん。「高校生の時に砂ろ過装置を開発しましたが、油をろ過するのに苦心しました。将来、希望の産業用インフラ開発の仕事に携わるためにも、少しでも解決に近づきたいです」と目を輝かせます。
林教授は「成長できる環境は整えています。環境技術を研究する者として日常の生活においても環境保全を意識して行動し、臆することなく研究に励んでほしい」と学生にエールを送ります。