ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

「家族」というテーマに真正面から向き合い自分の将来を見つめ直す(キャリアデザイン学部キャリアデザイン学科 斎藤嘉孝准教授ゼミ)

  • 2013年01月22日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

対話と調査を通じて家族像を客観的に分析

現代における日本の家族の在り方について考える斎藤ゼミでは現在、3・4年生合わせて36人が学んでいます。
学生の研究内容は多岐にわたり、佐本茜さんは自身の研究テーマについて「家庭環境が子どもの成長に与える影響を研究するため、卒業論文では子どもが抱く結婚観における親の影響を調べています」と話します。

家族は学生が関心を持ちやすいテーマである一方、個人のプライバシーに関わるデリケートな問題。しかし、「だからこそ学問として勉強したかった」と語る川田啓斗さんは「今は自分の両親を通じてしか父親像や母親像を考えることができません。一般的な『家族』についても理解を深めて将来に役立てたいです」と研究の意義を語ります。

家族の在り方について調べる時にインタビューという手法を使うことがありますが、多くの学生が頭を悩ませます。夏合宿で社会調査の結果を発表した武者郁恵さんも「知り合いに話を聞きましたが、やはり家族に関しては聞きにくいことばかりでした。相手に心を開いてもらうためには人生経験が必要だと痛感しました」と振り返ります。後期になるとアンケート調査にも着手。「まず、“こういった家族の子どもはこのような傾向が強い”といった仮説を立てます。次に仮説を実証するために行うアンケートの質問を考え、データを処理しやすいように回答項目を検討します。一つのアンケートに取り組むだけでも多くの手順を踏み、多様な方法論が学べます」と立川誠也さんは説明します。

これらの調査を通じて研究を深めるとともに自らのキャリアデザインにも役立てています。女性の社会進出に伴う心理的なハードルなど理想と現実について研究する白子智晶さんが「就職活動では自分のやりたい仕事を選ぶだけではなく、女性として長期間働ける職場かどうかも重視しました」と話せば、婦人保護施設でボランティアをした若林都さんも「考え方が変わった」と自身の成長を口にします。「施設で暮らす人を自分にとって遠い存在だと思っていたのですが、職員の方に話を聞いて、誰もが同じような境遇になる可能性を知りました。今後は、家庭の事情で苦しむ方を身近な存在として考えていきたいです」と抱負を語ります。

斎藤准教授は「多くの日本人が信じ込んでいる家族の在り方が、世界の常識というわけではありません。学生にはどんな分野においても、考え方やコミュニケーションの土台作りに役立つ、客観的なデータを解析して常識を検証する大切さを知ってほしい」と学生たちのさらなる成長を期待し、学問へ誘っています。

八王子のセミナーハウスで行ったゼミ合宿にて

八王子のセミナーハウスで行ったゼミ合宿にて

自分たちで作成し、社会調査を行ったアンケート用紙

自分たちで作成し、社会調査を行ったアンケート用紙

家族について議論が尽きない八王子のセミナーハウスで行ったゼミ合宿にてゼミ生たち

家族について議論が尽きない八王子のセミナーハウスで行ったゼミ合宿にてゼミ生たち

斎藤先生が研究の方法論について説明しているゼミ活動の一コマ

斎藤先生が研究の方法論について説明しているゼミ活動の一コマ