ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

国際関係論(グローバル教養学部 湯澤武准教授ゼミ)

  • 2012年10月23日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

ライバルは全世界の大学生。真のグローバル人材を目指す

前列右から、石川希さん(3年/交換留学中)、湯澤教授、辻さゆりソフィアさん(4年)、籏野あいさん(3年)。後列右から、森田大樹さん(4年)、渋沢良輔さん(4年)、倉地城光さん(4年)、高橋謙介さん(3年)

前列右から、石川希さん(3年/交換留学中)、湯澤教授、辻さゆりソフィアさん(4年)、籏野あいさん(3年)。後列右から、森田大樹さん(4年)、渋沢良輔さん(4年)、倉地城光さん(4年)、高橋謙介さん(3年)

「ゼミに入るなら、湯澤ゼミしかないと思っていました」と断言するゼミ生たち。「湯澤先生はGISの中でもかなり厳しい先生。でもその分、得られるであろうものの多さに希望を持てました」と倉地城光さん(4年)が話すように、湯澤ゼミは生半可ではない勉強量が最大の特徴です。目指しているのは、世界で通用するグローバル人材になること。湯澤ゼミに入ったからこそ志望していた商社の内定を獲得できたという森田大樹さん(4年)は、「自分を叩き直すことができました」と笑います。

今年度(2012年度)から始まった湯澤ゼミは現在、3年生4人、4年生5人が所属。学年末に研究論文を提出することを目標として、前期は「21世紀の世界秩序の展望」をテーマに専門書や学術誌における論文の講読とディスカッションを、後期は各自が設定した課題研究を行っています。前期の演習では、毎週、前週のゼミで提示された必読文献3本の中から特に興味のある1本に対して文献批判エッセイを書き、当日その週担当の2人がプレゼンテーションした上で皆で議論を行っています。「プレゼンのためには参考文献を少なくとも5~6冊、選択しなかった論文それぞれに関してもディスカッションのために複数冊の資料を読んでいます」と籏野あいさん(3年)。これ以外にも、毎週担当ゼミ生が自ら選んだ新聞記事を、国際関係理論を用いて事象の要因を説明するという課題もあります。当然ながら、文献講読からエッセイ・論文執筆、プレゼン、ディスカッションにいたるまですべて英語で行います。

7月19日のゼミ授業。「英語を話せる人は沢山いる。僕たちはさらにその先へ行きたい」とゼミ生たちが話すだけあって、ゼミは毎回、真剣な議論が交わされる

7月19日のゼミ授業。「英語を話せる人は沢山いる。僕たちはさらにその先へ行きたい」とゼミ生たちが話すだけあって、ゼミは毎回、真剣な議論が交わされる

前期最後のディスカッションでは、ディベート形式で「今後国際社会において民主主義は拡散していくのか」を題に4年生が肯定側、3年生が否定側となり論じ合いました。4年生がまず中東諸国における民主化運動の波を切り口に民主主義と経済成長との親和性を論じると、3年生は中国など経済発展を遂げている権威主義国家を取り上げて応戦。3年生はさらに民主主義から独裁政権を復活させた国を事例に民主主義の脆弱性を主張すると、4年生は戦後、米国を中心に発展したリベラル国際秩序の持続性を論述しました。

4年生が一瞬答えに窮する程の言論をした3年の高橋謙介さんは「前期の学びの成果を出すことができました」とコメント。湯澤教授は、「ゼミ生には常に、競争の激しいグローバル社会で活躍できる人材を本気で目指すのであれば、厳しい学業を乗り越え精神的にも鍛えられた海外大卒の外国人・日本人学生に対抗できる能力を身に付ける必要があると言っています。論理的思考力はもとより、将来どんな職業に就いても必要とされる問題発見・解決能力を、ゼミ活動を通じて身に付けてほしいですね」と話します。

「問題解決」のための「問題発見」に挑む

写真は9月に行ったゼミ合宿。ゼミ生たちは合宿中、夜中3時まで自主的に議論を交わしたものの、「でもそのおかげで流れ星を見ることができました!」

写真は9月に行ったゼミ合宿。ゼミ生たちは合宿中、夜中3時まで自主的に議論を交わしたものの、「でもそのおかげで流れ星を見ることができました!」

この9月には河口湖で2泊3日の夏合宿を行いました。4年生は引率役として全員が企画係や会計係など何かしらの役割を担い、皆で協力し合いながら遂行。バーベキューやボート漕ぎ、卓球など充実したレクリエーションを行いましたが、ゼミ生たちが最も楽しそうに振り返るのは研究活動です。

昼12時の現地到着直後から一人分2時間以上をかけ、後期から始める一人ひとりの研究内容について研究の問いの妥当性と仮説の独創性、分析枠組み、論文の構成まで議論。研究テーマ『エジプトの民主化』において「理論に関する先行研究をより深くレビューするようご指摘いただきました」という高橋さんに続き、『日本の対北朝鮮外交』を考察する森田さんは「既に多くの研究者が取り組んでいる分野だからこそ難しい」と独創性が求められる“研究”ならではの困難さを語ります。『米オバマ政権のアジア太平洋シフト』についてそのファクターを調査している倉地さんも「既存研究とは違う切り口から考察するようご指導いただきました」。倉地さんはさらに「先生からはいつも問題解決のための問題を発見することが一番難しく、重要だと教えて頂いています」と続け、籏野さんは「だからゼミが始まった当初は、『有効なゼミ活動とはどのようなものか』『ゼミとは何か』についても文献や資料で研究していました」と教えてくれます。

「さすがに2時間以上休み無しで議論した時は疲れましたが」と笑いつつも、ハードな研究活動について「中途半端なことをするなら何もしない方がいい」と知識の習得や思考力の研さん、本質の追究をゼミ生たちは堪能していています。「先生のストイックさに感化されているのかもしれません」と倉地さんは言い、「でも湯澤先生はゼミ授業から一歩離れるとフレンドリーで、何にでも相談にのって下さる。一番信頼できる先生です」と森田さん。そして最後にゼミ生たちは「GISを代表するゼミになれるよう僕たちが実績を作り、湯澤ゼミの伝統を作っていきたい」と一期生としての抱負を語りました。