ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

細菌の環境応答を研究細胞の持つ高性能センサーの作動メカニズム解明を目指す(生命科学部生命機能学科 川岸郁朗教授研究室)

  • 2012年09月25日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

専門的な実験に取り組み知識も研究意欲も高まる

左から、諸杉健志さん(4年)、入谷有香さん(4年)、川岸郁朗教授、辻友香子さん(4年)、奥野亜沙子さん(4年)、玉井怜さん(4年)

左から、諸杉健志さん(4年)、入谷有香さん(4年)、川岸郁朗教授、辻友香子さん(4年)、奥野亜沙子さん(4年)、玉井怜さん(4年)

川岸郁朗教授の「細胞機能学研究室」は大学院生を含め約50人の学生が名を連ねる大所帯の研究室。大腸菌などのバクテリアの「環境応答」を対象に、細胞内超分子システムの働きを研究しています。生物の持つ高性能センサーなどの作動メカニズムが分かれば、医療や環境浄化などさまざまな分野への応用の道が開けます。

「昔から昆虫などの生き物に興味があり、その適応能力について知ることが好きだった」と話す玉井怜さんは、さまざまな薬剤を菌対外に排出して多剤耐性の原因となる“ポンプ”(タンパク質複合体)がどのように作られるかを解明する研究に挑戦。「日々の研究は、考えて実践した結果を受けて、また考えることの繰り返し。そのプロセスが面白く自分の性格にも合っているので、将来も研究の仕事に就くため、本学大学院に進学予定です」と意気込みます。

以前から遺伝子組み換え技術に興味を持っていた諸杉健志さんは、遺伝子を用いた研究にも取り組めると考え川岸研究室へ。「今は大腸菌の糖取り込み系タンパク質が糖センサーとしても働く仕組みを解き明かす研究をしており、学会でも発表しました。未知の領域が多く苦労もありますが、その分やりがいは大きく、研究室に入ったことで、より自発的に行動できるようになりました」と振り返ります。

「顕微鏡の設備が整っていたことが川岸研究室を選んだ理由の一つ」という入谷有香さん。「私は中学生の頃から顕微鏡を使った実験が好きでした。今は細菌が環境変化やストレスを感知して遺伝子発現の調整を行うためのセンサーについて研究しています。実物を見ながら実験を重ねデータを集計することが楽しくてなりません」とやりがいを熱く語ります。

「自分が育てた細菌は愛おしく感じる」と話す辻友香子さんも実験に魅了された一人。「私は2年次の夏に先輩の発表を聞いて、環境に応じて細胞の形や運動能力を変える海洋ビブリオ菌に興味を持ち、研究を続けています。川岸先生が主宰する研究会の手伝いなどを通じて同じ分野を研究する方たちと話す機会も増え、視野が広がりました」と自身の成長を実感しています。

同じく海洋ビブリオ菌の研究をしている奥野亜沙子さんは「社会の人たちに『大学の研究についてもっと知ってほしい』と思い、社会と大学の橋渡し役を目指すという理念を持つ企業を就職先に選びました。今から働くのが楽しみです」と将来への抱負を語ります。

川岸教授は「2年次に行う共同研究を通して、DNA操作や顕微鏡操作など基礎的な技術と研究の進め方を学びます。その後は自分なりのテーマを掘り下げていきながら、新しい発見をするという研究の醍醐味に触れてほしい」と学生たちのさらなる成長に期待しています。

昨年10月、第94回日本細菌学会関東支部総会でベストプレゼンテーション賞を受賞した時の記念写真

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蛍光顕微鏡で細胞内の融合タンパク質を観察している

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