ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

環境問題をテーマに自ら現場を歩き足で考え「データをもって語ろう」(社会学部  堀川三郎教授ゼミナール)

  • 2012年07月24日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

資格よりも「視角」を答えよりは「方法」を

後列左から、佐藤旭彦さん(社会政策科学科3年)、堀川教授、松山雄大さん(社会学 科3年)、大原巧さん(社会政策科学科4年)。前列左から、向中野一樹さん(メディ ア社会学科3年)、山口恵里佳(社会学科3年)、桔梗夏妃さん(社会学科3年)、天野 加奈子さん(社会学科3年)

後列左から、佐藤旭彦さん(社会政策科学科3年)、堀川教授、松山雄大さん(社会学 科3年)、大原巧さん(社会政策科学科4年)。前列左から、向中野一樹さん(メディ ア社会学科3年)、山口恵里佳(社会学科3年)、桔梗夏妃さん(社会学科3年)、天野 加奈子さん(社会学科3年)

自然環境と人間社会の関わりの中で発生する「環境問題」を社会学の面から分析・考察する環境社会学。学生自身の興味・関心を重視する堀川ゼミは、環境社会学に緩やかにつながる範囲であれば自由に研究テーマを設定できることが大きな特長です。そのため、自身の身近な環境から研究をはじめたゼミ生もいます。神奈川在住の山口恵里佳さんは、鎌倉の世界遺産登録の動きに関心を寄せました。「観光地化による汚染など、世界遺産指定を歓迎しない地元住民もいます。先入観を捨て、複眼的な考察で問題の本質に迫りたいです」。下北沢の再開発に注目した天野加奈子さんは「地元住民以外の意見がどの程度まで考慮されるのか、その境界を探る研究を通じて大飯原発の再稼働問題まで視野を広げたいです」。

故郷の青森県を代表するねぶた祭りが東京でも行われる事実に違和感を覚えた向中野一樹さんは「本来土着的な行事である祭りが土地と切り離され、開催時のルールも変化している。学術的観点から祭りの物象化の過程を明らかにしたいです」と語ります。

堀川ゼミのモットーは“Say it with data”(裏付けをもって語ろう)。現場を歩き生きたデータを集める積極的な姿勢は、学生自身の自己発見や課題克服にもつながります。

「実家が商店を営んでいたことから、家族従業の店舗の減少を研究対象にしています。両親の休みが多いサラリーマン世帯がうらやましかったのですが、商店の誇りや伝統に触れ、そのすばらしさを再発見することができました」(桔梗夏妃さん)。日本社会における演劇の立ち位置を研究する松山雄大さんは「劇団員へのインタビューなどの調査を通じて、コミュニケーション能力が高まってきたと感じています」と語ります。商店街に流れる音を研究する大原巧さんは、「日頃は無意識下にあって漠然としていた問題を言語化・顕在化させる意義を学びました」とそれぞれ成長を実感しています。

経過報告などの場での学生たちは真剣そのものです。ソーシャルメディアが生む人々の連帯を研究する佐藤旭彦さんは「ゼミでは本気で取り組む姿勢を問われます。甘えが許されない環境は学生にとって貴重。研究を通じて自発的・積極的な行動の大切さにも気づきました」。

一つ一つの発言に注意深く耳を傾けていた堀川教授は、「地道に積み上げた実証データをもとに分析・考察する方法論を自分のものにしてほしい。いかなる時代も、社会にしっかりと向き合える構えが重要であることに変わりはないのだから」と、学生たちの将来に思いをはせます。

ゼミは教授の研究室で行います。文献に囲まれ、ときにコーヒーも飲みながら、徹底的に討論します(撮影=楠知子さん[ゼミ8期生])

ゼミは教授の研究室で行います。文献に囲まれ、ときにコーヒーも飲みながら、徹底的に討論します(撮影=楠知子さん[ゼミ8期生])

学生の自主的な運営に委ねられているサブゼミはゼミ室で。和気あいあいと学び合っています(撮影=楠知子さん[ゼミ8期生])

学生の自主的な運営に委ねられているサブゼミはゼミ室で。和気あいあいと学び合っています(撮影=楠知子さん[ゼミ8期生])

卒論口頭試問の後は、恒例の「ディナー」。おしゃれをして、レストランで夜更けまで語り合います(撮影=楠知子さん[ゼミ8期生])

卒論口頭試問の後は、恒例の「ディナー」。おしゃれをして、レストランで夜更けまで語り合います(撮影=楠知子さん[ゼミ8期生])