ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

世界のさまざまな事象を人と人の関わり合いから見つめ「国際関係学」からとらえ直す(国際文化学部 国際文化学科 今泉裕美子教授ゼミナール)

  • 2012年05月08日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)
後列左から、仲尾望さん(3年)、戸塚智沙登さん(4年)。前列左から、髙橋多瑛子さん(3年)、小林夏帆さん(3年)、今泉教授、小竹優美さん(3年)※学年は2012年3月現在

後列左から、仲尾望さん(3年)、戸塚智沙登さん(4年)。前列左から、髙橋多瑛子さん(3年)、小林夏帆さん(3年)、今泉教授、小竹優美さん(3年)
※学年は2012年3月現在

仲間たちとの議論を通して互いの考えを磨きあうゼミ

今泉ゼミは、現代世界のあらゆる事象を国家間の関係からのみならず、人や集団同士の関わり合いからとらえ直し、「国際関係学」を学ぶゼミです。
2年次にSA(スタディ・アブロード)プログラム(※)を経験した学生たちの研究テーマは、グローバルな広がりを持つものばかり。英国でアフリカ諸国の現状を知った小林さんは「ナイジェリアの教育問題」を調べています。「アフリカで3番目の経済規模をもつ同国ですが、教育に十分な予算が回っていないことが社会問題になっています。今年は1年間英国に留学するので、さらに情報収集してきます」と目を輝かせます。小竹さんのテーマは「パラオ共和国と米国の自由連合協定」。「経済援助を行う代わりに、パラオの軍事と外交に関する決定権を米国が持つ協定ですが、これではパラオは独立国家といえないのでは、という疑問から研究を始めました。今後は日本との関係も考察します」とテーマに深く切り込んでいます。


 
在籍する17人の学生は、全員が「現代世界が生み出す“きしみ”をキャッチする繊細さ、それらの研究に進んで取り組む熱意に溢れている」と今泉教授

在籍する17人の学生は、全員が「現代世界が生み出す“きしみ”をキャッチする繊細さ、それらの研究に進んで取り組む熱意に溢れている」と今泉教授

ゼミでは学生たちが選んだテーマに関する文献を読み込み、さまざまな角度からディスカッションして内容を掘り下げていきます。今泉教授は「まず、学生が関心を向けている事象への認識に疑問を投げかけ、揺さぶり、それまで当たり前だと思っていたものの見方、それを成り立たせる自分の立場性を問い直していきます。時には議論が白熱して、3時間を超えることもしばしばです」と話します。

仲尾さんは「例えば“多文化の共生”という言葉を、私自身は肯定的にとらえていました。しかし歴史を振り返るうちに、それは往々にして支配者が被支配者を従わせる時に利用してきた、体のよい言葉だったことを知りました」と、言葉一つから多角的に考察しています。

2011年度は、今泉教授の専門分野である沖縄で研修を行った

2011年度は、今泉教授の専門分野である沖縄で研修を行った

ゼミ長の髙橋さんは「物事を善悪などの単純な二項対立で分けたり、メディアの報道を鵜呑みにするのではなく、背景にある複雑に絡み合った歴史を紐解いていくことで、既存の歴史を複眼的に検証する視点を養うことができました」と話します。戸塚さんも「皆のテーマは一見バラバラですが、自分の考えを話し、また皆の知識をシェアすることで理解が深まり、新しい視点を発見できることも。また世界で起きているすべての問題が、必ずどこかで自分たちとつながっていることに気が付き、あらゆる事象に当事者意識を持てるようになりました」と話します。

今泉教授は「さまざまな疑問と格闘し、人類の歴史から学び、同時代に生きる人とのつながりの中で自ら答えを導き出した経験を、社会に出て問題に直面した時にこそ生かしてほしい」と学生たちの成長を見守っています。

沖縄研修では、沖縄国際大学の学生から基地問題などを学んだ

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社会人となった先輩から、さまざまな刺激をもらえるOB・OG交流会

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