ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

仲間との現地調査を通じてコミュニケーションを学びながら地域経済の振興を考える(経済学部経済学科 近藤章夫准教授ゼミナール)

  • 2012年03月27日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)
左から、湯澤佳央理さん(3年)、枡本亜紀子さん(3年)、近藤章夫准教授、佐々木孝智さん(3年)、松尾亮さん(3年)

左から、湯澤佳央理さん(3年)、枡本亜紀子さん(3年)、近藤章夫准教授、佐々木孝智さん(3年)、松尾亮さん(3年)

座学では知り得ないものを「現場」で学ぶ経済学ゼミ

近藤ゼミでは、地域経済の振興と現代ビジネス研究をテーマとし(1)経済専門書の輪読(2)グループでの現地調査(3)個人の自由研究発表を三つの柱にしています。
中心となる活動は、3~4人の班に分かれて現地調査を行う夏のゼミ合宿と、その報告書の作成です。本年度は長崎県に赴き、各産業の状況や地域の経済動向について情報収集し、考察を行いました。
造船業を調査した枡本亜紀子さんは「中国企業の台頭もあり、業績は下降傾向にあります。企業城下町である長崎の経済全体への影響を懸念していましたが、自治体は観光業や他業種企業の誘致に力を入れるなど、造船業への経済的な依存脱却のために動き始めていることが分かりました。今後の動向にも注目しています」と語ります。

長崎県の地域調査では最終日に軍艦島へ渡った

長崎県の地域調査では最終日に軍艦島へ渡った

湯澤佳央理さんは「私たちは、長崎県が全国1位の生産量を誇るトラフグ養殖業に着目しましたが、実は最近、その生産量は落ちているそうです。さらに有名な下関ブランドに比べると『長崎県産フグ』があまり知られていないことは、非常にもったいない。ここに地域振興の鍵がある」と感じたそうです。
「日本経済を、最前線の現場で学びたい」と近藤ゼミに入った松尾亮さん。「現地調査では自分たちで課題や調査方法を決め、取材先のアポも取るので、積極性が培われます。さらに調査が終わっても、そこで見つかった課題を考察し、解決策を考える…と、学びに発展性があるところが魅力です。実社会に直接触れる中での“気付き”も多く、就職活動における行動指針となる“軸”も、その中できっと見つけられるはず」と話します。


 
水産業の調査では漁港などで現場の方からお話を伺った

水産業の調査では漁港などで現場の方からお話を伺った

ゼミ長の佐々木孝智さんも、「将来は出身地の福島県に戻り、地域活性化に貢献したいと考えているため、近藤ゼミを選びました。実際に入ってみると、経済の分析方法や地域振興の基礎を学べるだけでなく、仲間との共同作業や豊富なゼミ内のイベントを通じ、社交性やチームワークなど+αの要素まで身に付きます」と充実ぶりを語ります。
また、後期ゼミの中心となる個人研究では、プレゼンテーション能力の向上にも注力。「内容を知らない相手にゼロから説明する力」を磨くため、研究テーマはほかのゼミ生には秘密。それぞれ先生の個別指導を受けながら研究を進めていきます。
近藤准教授は「どの学生も、個々の事例を単独でとらえるのではなく、全体を俯瞰して周辺事象との相互的な関係まで考えた発表を行っている。これはさまざまな事象が複雑に絡み合う地域研究の経験で養われた能力」と学生たちの成長に確かな手応えを感じています。

かつて隆盛を誇った池島炭鉱(長崎県)での坑内調査

かつて隆盛を誇った池島炭鉱(長崎県)での坑内調査

プレゼンは通常の講義室で行い、ゼミ員全員から評価される

プレゼンは通常の講義室で行い、ゼミ員全員から評価される