ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

理論経済学(経済学部経済学科 佐藤良一教授ゼミ)

  • 2011年11月01日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

“読む・書く・聞く・話す・考える”。経済学を通して人としての土台を築く

前列中央のYoshi先生と、26名のゼミ生たち

前列中央のYoshi先生と、26名のゼミ生たち

ゼミにおける基本的な研究内容は、マクロ経済学とミクロ経済学をバランスよく学ぶ基礎理論学習と、世界動向も含めた日本経済分析の、主に2つ。ですが、それだけで終わらないのが佐藤良一教授のゼミ、通称“Yoshiゼミ”の特徴です。取り組むメニューは個人・グループプレゼン、共同論文応募、ディベート大会出場、読書会、エッセイ作成など盛りだくさん。さらに、春と夏のゼミ合宿、Yoshiゼミ17代合同のOB・OG会、卒論発表会、卒ゼミお祝いパーティなどイベントも多彩に行っています。

毎回の授業は毎週木曜の4限(15:10)から19時位まで4時間余り続く。基本メニューは、(1)時事問題をテーマ化して話すToday’s Talk、(2)愛読書を紹介するMy favorite book、(3)『ミクロ経済学』理論学習、(4)さまざまなプレゼン、(5)読書会、で構成される(4)のプレゼンにおいて、前期は毎年9月に大学懸賞論文に応募する共同論文についてグループで、後期は2・3年生は自らテーマを決めた5分間スピーチ、4年生は卒論の経過報告と個々人で取り組むスタイルで行っています。この基本メニューにディベート大会、プレゼン大会、研究報告大会、スペシャルメニューが加わり、エッセイや書評は授業外で作成・提出します。

10月15日(土)に開催したOB・OG会の様子。人見知りの人でも輪に入りやすい風土が伝統的にあるYoshiゼミは、初代から17代目(現2年生)に至るまで世代を越えて仲がいい

10月15日(土)に開催したOB・OG会の様子。人見知りの人でも輪に入りやすい風土が伝統的にあるYoshiゼミは、初代から17代目(現2年生)に至るまで世代を越えて仲がいい

「ゼミでの勉強量はかなり多いですが、大変だと思ったことはありませんね。それ以上に、仲間と一つのことを成し遂げる達成感・充実感があるんです」と話すのは田中健介さん(3年)。2年生でゼミに入ると2~3年生が3~4名にグループ分けされるYoshiゼミでは、個人プレゼンなどテーマ設定から発表まで一連すべてを一人で取り組むものもありますが、その場合でも同じグループ同士のメンバーが相談し合えるよう、発表を敢えてグループ単位にするなどの工夫がなされています。多大な勉強量も相まって、ゼミ生は毎日のように図書館に集合。自然と仲良くなり、中にはサークルをやめる人もいるほどです。

ゼミ長を務める小島華奈衣さん(3年)は「研究はもちろん、ゼミ活動全体を通して先生がいつもおっしゃる“読む・書く・聞く・話す・考える”という、人としての基礎力を身につけられる。このゼミに入ったら社会に出てもばっちりです」とコメント。その言葉通り、就職難の時代にも関わらず、ゼミ生の多くが早い段階で内定を獲得しています。大手製薬会社など複数社に内定し、業界最大手の銀行に就職を決めている前ゼミ長の沼崎淳さん(4年)は「幅広い学びを通じて社会を知り、自らを見つめ直せたことが内定につながった」と話し、それは「社会に深い造詣をお持ちで、どんな質問にも答えてくれる先生のお蔭」と言います。大手生命保険会社の就職を予定した中村浩子さん(4年)も「私たちゼミ生にとってYoshi先生は“第2のお父さん”。大学生活を充実させたい人は一度先生の研究室を訪れてみるといいと思います。大きな心で受け入れてくれるはずです」と話します。

Study hard, and keep on smiling!で、スマートスタディを展開

10月13日(木)の授業の様子

10月13日(木)の授業の様子

「ゼミ見学の時、プレゼンや議論している先輩が格好よくて、自分もこうなりたいと思いこのゼミに入った」という学生が多いYoshiゼミ。1回の授業は2限以上に渡りますが無駄な時間は一切なく、メニューが取り組まれていきます。10月13日(木)に行われた授業を紹介しましょう。

まず行われたのは、毎回のイントロダクションとなっている“Today’s Talk”。今回は2名の代表者が発表しました。発表者の一人、遠藤ひかるさん(3年)は「子どものために」をテーマに、時間泥棒と女の子が戦う童話『モモ』の世界と現在の社会状況を重ね合わせ、時間とお金の関係、資本主義の問題点、現状の解決策としての共存・共栄社会の提案と話を展開させて、子どもの豊かな未来実現についての考察を発表しました。ゼミ生の一人は「経済を勉強しているけれど、いつも自分の力の及ばないとこのような気がしてしまっていた。でも、資本主義は人間が作った世界なのだから人間が変えられるという話があって、身近なところからできることを今後はしていきたい」と感想。改めて経済を学ぶ意味について考える場となりました。

この日の読書会はお休み。続いては経済理論学習が行われました。Yoshiゼミではゼミ生が主体性を持って学べるよう、講師をゼミ生が順番で担当。実体経済を理論に重ね合わせ、議論しながら進めていきます。今回は武川亮平さん(3年)が講師を務め、『ミクロ経済学』のテキスト第7章「企業行動と費用関数」から“消費者から見た企業の生産行動”について学びました。途中、Yoshi先生が、生産活動にかんする基本的な問いかけをしながら、企業行動のあり方を補足説明。庄子温さん(3年)は「同じテキストを経済学部の入門ゼミでも学んでいますが、Yoshiゼミのこのスタイルで学ぶことで、より深い理解が得られます」と話します。

10分の休憩をはさんで5限目ぴったりの時間から再スタートし、始まったのは個人プレゼンです。個々人が自ら興味を持ったテーマを設定し、PPTを使いながら5分間でスピーチ。その内容についてプレゼン後、質疑応答と議論することに加え、最後にオーディエンス側の全員が質問・コメント・技術評価・アウトライン評価の4つの指標で評価表を記入し発表者に提出します。今回発表したのは、6グループのうちA~Cグループの計11名。テーマは“未来型農業システム”“タイムマシン”“ブックメーカー練金術”などさまざまで、プレゼン自体も内容が改善策まで盛り込まれている人、PPTでグラフを巧みに閊えている人、はじめの“つかみ”が上手な人など個性が多彩。長内静羅さん(2年)は「基本的なプレゼンの仕方はもちろん、相手の立場を見極めた上での効果的な方法を模索できる」と言います。

計4時間にも及んだにも関わらず、最後まで集中を切らさずスマートスタディな授業が展開されたYoshiゼミは、ゼミのキャッチフレーズ“Study hard, and keep on smiling!”をまさに体現しています 。