ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

スポーツによるまちづくり(スポーツ健康学部 三ッ谷洋子ゼミ)

  • 2011年08月01日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)
7月1日の授業風景

7月1日の授業風景

体験型授業により、感性で知覚する

「スポーツによるまちづくり」をテーマに、フィールドワークを重視した研究活動を行っている三ッ谷洋子ゼミ。ゼミ生全員で野球観戦へ行き、球場施設や最寄駅との往復路におけるユニバーサルデザインの整備状況、球場と連動した地域振興行事など、多様な角度から“まちづくり”の取り組みについて研究を行っています。「まちづくりの基本は住民、つまり人です。ゼミ生が普段の生活の中で様々な物事に直接触れ、自分のまちがこうなればもっと楽しく暮らせるはず、とゼミ生が楽しみながら学べる授業運営を心がけています。これからの社会の方向を見つけることができるのは、彼らの若い感性です。これを研究に活かしてほしいと思っています」と、三ッ谷教授は語ります。

三ッ谷先生(写真手前)とゼミ生たち

三ッ谷先生(写真手前)とゼミ生たち

7月1日(金)の授業ではユニバーサルデザインとはどのようなことなのかを実際に体験する、多摩キャンパスの“バリアフリー度”を検証しました。株式会社アクセスインターナショナル代表取締役社長で、ご自身も車椅子を利用される山崎泰広さんをお招きし、2人1組で計7台の車椅子を使って多摩キャンパスの現代福祉学部棟から大教室B棟、図書館・研究棟、総合棟までの道のりを往復。ゼミ生たちは、慣れない車椅子で通路の段差にタイヤをひっかけたり、転倒してしまう場面も。山崎さんに「タイヤがパンクした時はどうするのか」「車椅子に乗りながらドアをスムーズに開閉する方法とは」といった質問もしながら、健常者では気付きにくい坂の傾斜や段差の多さ、エレベーターの使い勝手や自動販売機のボタンの位置の重要性などを体験しました。

「ゼミの面白さは、体験型というだけでありません」と話すのは、スポーツマーケティングを学びたいと三ッ谷ゼミに入り、授業でも障がい者スポーツについて積極的に質問していた2年生の茨田桂太さん。「三ッ谷先生ご自身がこの分野の第一人者だからこそネットワークが広く、通常のゼミ以外にも多彩なゲストを招いての『マーケティング研究会』で、社会人の方々と一緒に普段お会いできない方からお話を聞けるのも勉強になります」と続けます。三ッ谷先生は「“スポーツによるまちづくり”は未だ発展途上の分野で汎用的な成功モデルがある訳ではありませんし、地域それぞれによって状況や資源が異なります」と研究の難しさがあると指摘しつつも、「他の誰もがやっていないテーマは無限にあります。ゼミ生には各自の感性を活かし、この分野の発展の一翼を担う存在になってくれると嬉しいですね」と想いを語ります。

地域とともに、楽しみ、学ぶ

法政クラブ研究グループのミーティング風景

法政クラブ研究グループのミーティング風景

2~3年生がグループになって行う研究においても、フィールドワークに基づいた調査分析を重視している三ッ谷ゼミ。現在は、2つのグループに分かれて活動を行っています。1つはJリーグ加盟を目指す日本フットボールリーグ(JFL)の「FC町田ゼルビア」(以下、ゼルビア)に対してイベントサポートを行うグループ、もうひとつは本学の教育活動を通じて地域振興に貢献する「法政クラブ」と連携し、多摩周辺地域の地域活性化活動に取り組もうというグループです。

「憧れていたスポーツビジネスのプロに接することができ、貴重な経験をさせていただいています」と話すのは、ゼルビアグループの山田理人さん(3年)。グループ研究が始まってまだ3カ月。既にゼルビア主催の体力測定イベントで機材手配や運営補助などの活動をしました。「今後の課題は多いですけれど」と笑うゼミ長の上田健人さん(3年生)は、「三ッ谷ゼミは私たちが一期生。他学部のゼミのように先輩がいないため、ゼルビアさんとの連携はもちろん、イベント運営も自分たちが一から学び、構築しなければならないのです」と話します。今秋までに自らが主体となり、企画から運営まで行うイベントに取り組むことを目標にしています。

一方の法政クラブグループも今春から始動。7月中旬現在、11月開催予定の「町田市・八王子市・相模原市対抗運動会」に向けて企画内容を考案中です。「企画書を昨日突き返されて、今回で10回目になります」と苦笑いするのは岡将行さん(3年)。初めての経験にも関わらず、競技種目・周知活動・予算組み・運営方法とすべてを担当するため、多岐に渡るチェックが入るのだと言います。「責任は重大ですが、その分楽しいことも多いんですよ」と話すグループリーダーの越後健二さん(3年)は、「“籠が動く玉入れ”や子供からお年寄りまでがバトンをつなぐ“子孫繁栄リレー”など、若いからこその発想を活かせられますから」と続けます。同グループメンバーは「皆さん、ぜひご参加ください」と口を揃えます。

「実際の地域振興は継続性が必須だからこそ、住民が楽しめなければ成功はないと私は考えています。その意味で、ゼミでも学生自身が楽しめなければ成功はありません」と話す三ッ谷教授。「どちらのグループも取り組みが進むにつれ少しずつ熱が入っているようなので、今後が楽しみです」とゼミ生を見守ります。