ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

企業組織の戦略的意思決定(経営学部 福島英史ゼミ)

  • 2011年07月19日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)
「考える、話す、自分たちで場をつくるゼミは、楽しいですよ。」(左から3番目が福島教授)

「考える、話す、自分たちで場をつくるゼミは、楽しいですよ。」(左から3番目が福島教授)

“白熱教室”で、企業と自らの付加価値を探求する

福島教授ゼミでは「企業組織の戦略的意思決定」をテーマに、主に2つの学習活動を行っています。1つは『戦略経営論』(マイケル・A・ヒットほか著)をテキストにした輪読、もう1つは、2~3年生が3~4人1組で秋のインターゼミに向けて、4年生が個々人が卒業論文に向けて行う研究発表です。学生主体の積極的なゼミ活動が特長の福島教授ゼミ。福島教授は「学生には常に“ゼミの一員であるからにはゼミにおける自らの付加価値を高めましょう”と言っています。マーケットにおける企業活動にも通じますし、何より複雑化する社会において最も重要な“考える力”を養えるからです。それに考える楽しみを覚えた人と話すことは楽しいですからね」と笑顔で話します。

6月28日の授業にて、積極的に発言するゼミ生たち

6月28日の授業にて、積極的に発言するゼミ生たち

6月28日(火)の授業も熱い議論が繰り広げられました。発表者の1組であった水ビジネス研究グループが「日本の水ビジネス」の中間報告として世界の水ビジネスの現状を踏まえた日本の濾過技術の優位性を発表し終わると、聴講側のゼミ生たちは大きく挙手。佐山智紀(男性)さん(2年生)が「濾過技術のBTO事業化は、スイッチングコストを上げると考えるとM&Aを進める戦略も考えられるのでは?」と提案すると、中澤裕之(男性)さん(4年生)は「濾過技術の視点は面白いが、上下水道サービス全体の提供主体とは必ずしも事業の観点が同じではない点を意識した方がよいのではないか」と指摘し、さらに加藤春霞(女性)さん(4年生)は「水ビジネスに関わっている企業・団体のそれぞれ役割を知りたい」とコメント。“白熱教室”さながらの授業が展開しました。

「どんなに事前準備をしても想定外の指摘が必ず1つはあります」と発表を振り返るのは、水ビジネス研究グループの1人であり、ゼミ長を務める石川鉄也さん(3年生)。一方、聴講側だった村山裕美(4年生)さんは「聞き手から意見を述べることも勉強になります」と話します。1つのテーマに対して多様な議論を重ねる福島教授ゼミだからこそ、聴講側も瞬時に多角的な視点を有することが不可欠。「聞き手が意見を述べる時、批判だけではなく良かった点も評価する、というのが福島先生の方針」と江花有佳さん(4年生)が説明するように、福島教授のその方針が議論をより活発化させているようです。「一人ひとりが個性を伸ばせる指導をしてくれる」(宮薗拓也さん・4年生)福島教授の指導の下、ゼミ生たちは研究を通じて個性という自らの付加価値も探求しています。

成長意欲を刺激するインターゼミ

2010年のインターゼミにて

2010年のインターゼミにて

福島教授ゼミに入ると、はじめの大きな目標となるのが秋に他大学との合同で行われる研究発表会「インターゼミ」です。2010年度は、香川大学、近畿大学、同志社大学、東洋大学、武蔵大学とともに開催し、福島教授ゼミからは3グループが出場しました。

電子マネー研究グループは「なぜ電子マネーは急速に普及したのか」をテーマに研究。Edyをサービス提供しているビットワレット社に焦点を当て、同社がなぜ親会社のソニーとは独立して運営されたのか、そのことが補完的なサービス事業者や他の電子マネーを含む業界の発展にどう影響していったのかを発表しました。
プリウス研究グループのテーマは「トヨタはなぜ『プリウス』に戦略的とも思える低価格を設定しているのか」。他社との競合、ハイブリット車市場の拡大、背景となるコストダウンや製品ライン上の位置づけについて報告しました。
医薬品業界研究チームは「医薬品卸業は寡占的なのに、なぜ収益性が高くないのか」について研究。薬事法や業界史などもみながら製薬業界や医療機関との利益分配の構造を分析しました。

昨年のインターゼミについて「良い刺激になった」と口を揃える現3、4年のゼミ生たち。「twitterの実証実験を発表している他大学ゼミの研究内容を聞いて分析の切り口の面白さを学んだ」「自分たち以上に積極的なゼミがあって負けていられないと感じた」といった感想もあった一方で、最も多かったのが「意見を述べる重要性を改めて認識した」ということでした。「以前は自分の意見を表立って言うのは苦手だった」と話す藤原早苗さん(3年生)は「でもこのゼミに来て発言するように心掛けてから、自らの考えは外に出すことで研鑽し、発展させることができるのだと知りました」と続けます。「社会学のテキストの輪読も、一般論を疑う姿勢を身につけ、発言に自信を持てるようになった」と話すのは宮薗さん。村山さんは、多くの人の前で発言することで度胸がつき、「就職活動にも役立った」とも言います。

「現状維持を望むのではなく、今の自分を変えたいと思う、成長意欲の高い学生が集まってくれています。今から、今秋のインターゼミが楽しみです」と期待を込める福島教授。ゼミ生たちも夏休みを前に、早くも発表に向けて意気込みを見せています。