ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

科学技術考を通してディスカッションしながら自分の考えを形成する 人間環境学部 渡邊誠教授ゼミナ-ル

  • 2011年07月11日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

環境に対する科学技術の功罪をさまざまな角度から考える

前列(左から)渡部香奈さん(4年)、渡邊誠教授、藤田裕幸さん(4年)。後列(左から)塚田由紀子さん(3年)、石田早紀さん(4年)

前列(左から)渡部香奈さん(4年)、渡邊誠教授、藤田裕幸さん(4年)。後列(左から)塚田由紀子さん(3年)、石田早紀さん(4年)

科学技術の原理や仕組みと特徴を調べたうえで、それが環境にどう影響するのか、どう利用すべきかなどを考察することにより、人間にとってその役割は何かという問題について考えていくのが渡邊ゼミです。

「文系学部ですが、科学技術のあり方を考えるには理系的な視点が必要です。ゼミ生は身近な生活で感じた疑問からユニークなテーマを設定しています」と渡邊教授。

「最近は、エネルギー関連が多いですね」と続けるのは昨年のゼミ長で4年生の石田さん。自動車の排ガス問題に関心を持ち新しいエコカー技術のクリーンディーゼルについて研究しています。塚田さんのテーマは水力発電。「環境負荷も少なく雨が多い日本に適していると思いましたが、例えば小水力発電を積極的に導入していこうとすると多くの法的制約があることを知りました」。渡部さんは原子力発電について検討中。社会的にも意見が対立していますが「さまざまな文献を読み、以前はやや肯定の立場でしたが、震災以降のニュースを見聞きし、まだ知らない部分が多いことを実感。さらに考察を深めていきたい」と語ります。

藤田さんはゼミを選んだ理由を「さかんにもてはやされるエコ。それが本当にエコなのかを、このゼミで確かめたいと思いました」と話します。昨年の5月に見学した環境展では、多彩な企業が自社のエコ製品をアピールする中「ある企業ではあれが良いと言い、別の企業ではこれが良いと言う。それぞれの製品や技術などで矛盾や疑問に感じた点を企業の担当者に質問しました」。渡邊教授はこのような大学の外の場で何を質問するか、どう答えるかもコミュニケーション力を高める訓練になり、研究テーマの発掘にもつながると奨励します。

石田さんは「人を納得させるには、数値的なデータを示すことが大事」と、疑問を徹底的に追究する姿勢はゼミ生全員に共通です。その過程で、社会で役立つ論理的な思考力や説得力が身に付きます。

また、渡邊ゼミはゼミ生同士でやりたいことを話し合って教授と相談し、年間の活動を決めています。昨年のゼミ合宿では、ゼミ生の発案で大規模なディベートを実施しました。テーマは「技術力」対「自然力」。森林の持つCO2吸収力と太陽光発電などの技術的抑制力についてさまざまな論点にわたり比較検討。議論を戦わせ、学年を超えて親密度が高まりました。

「これからも遠慮せずに意見をぶつけ合える雰囲気づくりをしていきたい」と藤田さん。渡邊教授は「環境問題は複雑で正解は一つだけとは限りません。だからこそ、複眼的に見てさまざまな可能性を考えることの大切さを知り一人ひとりがしっかりと自分の意見を持ってほしい。それがこのゼミの最終目標です」と語ります。

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