ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

人間社会の基盤となるコミュニケーション(人間環境学部 ストックウェル エスター ゼミ)

  • 2011年01月31日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2011.1.31
欠かせないコミュニケーション学

コミュニケーション学(Communication Studies)は、メッセージを伝達するために人間が共有するすべてのシンボルを扱う学問分野です。会話、新聞、テレビなど幅広いコミュニケーションの手段において、受け手がさまざまな情報をどう解釈するのか、また発話や言語がもつ政治的、文化的、社会的な意味をも研究する分野です。ストックウェル准教授ゼミでは、コミュニケーションという概念を、大きくて分けて二つの観点から見ています。

その一つ目が“ヒューマン・コミュニケーション”。言葉はそれ自体メッセージを伝えますが、表情、姿勢、ファッションなども多くのメッセージを相手に伝えます。コミュニケーション学は、社会学、心理学、経済学、政治学、法学、文学、言語学、工学、医学などの分野の基盤になっており、人間は何らの形でコミュニケーションを取らないと生きていけません。また、家族・交友などの人間関係においても、欠かすことができません。「全てのコミュニケーションは、自分を理解することから始まり、その次に、周りの人、学校や会社、それから社会に影響を及ぼします」とストックウェル先生は話します。

二つ目は“マスメディア”。“世界”に対する私たちの知識の大半は間接的に得るものです。行ったことのない国や地域にも、何らかのイメージを持っているものですが、そのほとんどはマスメディアを通して得ていると言っても過言ではなく、マスメディアの影響の重大さが想像できます。近年のマスメディアの特徴の一つは情報の提供の速さ。世界のどこかで何かの事件が起きたら、すぐさま世界中がその事件について大量の情報を得ることができます。「しかし、その大量の情報の中から、どれが信頼できるかが重要。それゆえに、我々の意見や態度に大きな影響を与えるマスメディアをより深く研究する必要があります」とストックウェル先生は強調します。

  • 「ヒューマン・コミュニケーション」のゼミ生たち。コーテーションマークのポーズで
  • 「ヒューマン・コミュニケーション」ゼミの授業風景

自分と世界を見つめながら学ぶ

「マスメディア研究」ゼミのプレゼン発表の様子

「マスメディア研究」ゼミのプレゼン発表の様子

ストックウェルゼミは、「ヒューマン・コミュニケーション」と「マスメディア研究」という二つのゼミが、それぞれ精力的に学んでいます。授業は英語で進められますが、語学自体を学ぶわけではなく、専門的な用語や込み入った議論の際には、ストックウェル先生が優しく尋ねながら、皆の理解を深めていくので安心です。

「ヒューマン・コミュニケーション」では、自分の周りで行われているコミュニケーションをじっくり見て、個人・社会・国際関係において、どのようなコミュニケーションが取られているかを研究しながら、日常生活における様々なコミュニケーションの問題の原因と解決方法を学んでいきます。授業中、積極的にコメントしていた橋本博司さん(4年)は「日本語で学ぶより効果があると思います。意欲の高い学生が集まっている少人数のゼミなので、グループディスカッションなど励みになります」と話します。

一方、「マスメディア研究」は、メディア組織やプロセスを研究した上で、実際に日本と海外のマスメディアが外交政策、外国に対するイメージと偏見などにどのような影響を与えているかを調査していくゼミです。これに加え、マスメディアの信頼度や情報の範囲などを主なテーマとして研究していきます。1月初めの授業では、韓国や台湾に関する日本の新聞報道の比較、経済雑誌にみる日本とフランスの相互ステレオタイプの考察、テレビや新聞における中国とインド報道の比較などグループ研究のプレゼン発表を行いました。千葉加奈子さん(3年)は「マスメディアについて深く考えることができるゼミです。先生も優しく、グループワークも充実していて、とても楽しみながら学んでいます」と話します。授業をきっかけに、意識を高め、TOEIC(R)などのスコアアップにも励む学生も少なくないそうです。


Associate Professor Esther Stockwell (ストックウェル准教授のコメント)
I offer two seminars in the field of Communication Studies. The first, Human Communication, covers fundamental theories to explain features of interpersonal relationships, groups, organizational relationships, cultural diversity, cultural attitudes, groups and persuasion, mass media, and the effects of communication on receivers. Students will learn to question why some forms of communication work and why others fail. Individual, social and technological aspects of communication are examined from theoretical and practical points of view. The second seminar, Mass Media Research, covers topics including media businesses, the dual role of the media as information source and entertainment, research into short-term and long-term effects of the media, and media audience. Students will learn to question the degree to which the media influence us, and think critically about how to choose different media sources for gaining information.