ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

ロジカルシンキングが生きる情報科学(情報科学部 大森健児研究室)

  • 2010年11月22日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2010.11.22
XMOS、 Rubyなど注目技術を活用し研究

社会に新たな価値をもたらしているコンピュータ技術やソフトウエア工学。大森教授は「情報技術の進歩はとても早いものです。未来を担う学生たちには、新しい技術に対応する専門知識とともに、しっかりとしたロジカルシンキング能力を養ってほしいと考えています」と話します。同学部では1~3年次にプロジェクトという少人数授業を展開し、基礎・専門力を養い4年次の卒業論文・研究につなげています。大森教授のプロジェクトでは、1~2年次にビジネススクールで用いるような課題(高校程度の数学を応用する数的推理など)を解くことにより論理的思考も培います。理詰めの情報工学において、ロジカルシンキング能力は大きな武器となるのです。

研究室所属の4年生は男子6人、女子4人。今年度は男子が、XMOS Semiconductor社(英国)のプロセッサを用いたハードや、ソフトとハードをつなぐ研究を、女子がRubyという日本人開発者が生み出したオブジェクト指向スクリプト言語を用いた研究を行っています。

11月中旬の授業では、瀬海裕典さんが“XMOSのLEDを用いた電子メトロノームの作成”について中間発表しました。複数エージェントでの並列処理や、外部で生じたイベントにより駆動されるプログラムの作成法などの課題について説明。発表後のディスカッションの輪に積極的に加わった徳力僚晃さんは「やりたいことに夢中になって取り組める研究室です。私は“XMOSの動作検討”を研究テーマにセンサーやモーターを使って動作検討を行っています」と話します。もともとプログラム志向が強いという徳力さんですが、電気・電子分野のハード知識習得にも意欲的です。

  • ソフトとハードをつなぐ学生たちの研究
  • 瀬海裕典さんの卒論中間発表風景

開発の楽しさと高いモチベーション

8月には研究室有志で、富士セミナーハウスで合宿実施

8月には研究室有志で、富士セミナーハウスで合宿実施

一方、林桐太さんの卒論テーマは“オブジェクト関係によるソフトウエア記述の提案”。「メインストリームにならず、埋もれてしまった方法なども掘り起こしながら、基本的には手続き型で進めています」と話します。“何でも試せる”のも学生時代ならでは挑戦。中学生の頃からプログラムを書き始めたという林さんですが、学会に参加した経験でさらに触発され、大学院進学を決めています。

業界でも注目されている言語であるRubyを用いて研究を進めている女子学生たちも、各人がしっかりとした目的意識を持っています。Rubyで書かれたRuby on RailsというオープンソースのWebアプリケーションフレームワークでWebアプリを開発している水谷麻佑さんは、「RubyはJavaよりも分かりやすく、より簡単かつ効率的にWebアプリを作ることができます」と開発利点を強調します。

情報科学部では、一人に一台ノートパソコンを貸与しており、大学のみならず自宅などで研究を進める4年生も少なくありません。時には自宅で8時間程度、開発に取り組むこともあるという石川暖華さんは「研究はモチベーションを高めないと進みません。どれだけ集中し向き合うかが大切」と話します。オンオフの切り替えもしっかりしており、10月にはスペイン一周旅行も体験してきたという行動派です。

情報技術の萌芽期だった1960年代から豊富な好奇心で理論、各種実用技術を研究してきた大森教授を、学生たちは、「経験豊かでとても優しく、頼りになる」と慕っています。週1回集まるゼミは、皆が時を忘れるくらいアイデアを討議し、研究・技術を高めあう場となっています。教授自身は、位相幾何学の一分野であるホモトピーを用いて、情報科学の基礎的な理論の構築に尽くされています。