ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

臨床心理と心理的援助(現代福祉学部 末武康弘ゼミ)

  • 2010年11月15日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2010.11.15
ウェルビーイングを実現する共感性を養う

末武教授ゼミでは、臨床心理や心理的援助について学び研究しています。「臨床心理学を通してウェルビーイング(well-being:健康で幸福な暮らし)を実現する知識や技能を養うのがゼミの目的です。ゼミ生たちは自信を持って、それぞれが関心を抱いたテーマ研究に取り組んでいます」と末武教授は話します。

ゼミ生たちが、「とても印象的」と強調するのが、ゼミに入った直後の2年次前期に行う心理療法体験実習。各種サイコセラピーやカウンセリングなどを実際に体験する実習です。実習は経験を積んだ院生や上級生がサポートしながら行います。木津歩さん(2年)は「いくつか選択できるのですが、私はシネマセラピーと、クラシック音楽を用いた音楽療法を実習しました」と振り返ります。合唱団でテノールパートを担当しているだけあって、特に音楽療法には興味津々とのこと。さらに2年次後期からは2~3人のグループに分かれ、ゼミ論執筆に向けた研究を進めています。木津さんのグループでは「さまざまな依存症の分類やセラピーなどについて考察し、まとめています」と話します。

3年次から個別テーマ研究に着手し、4年次には卒業論文に取り組みます。ゼミ生たちは自分のテーマにこだわりながら、先行研究とは異なった切り口を考えます。大学生の心理的成長についての質的研究、児童の読み聞かせのための絵本制作など、各自様々な課題を追求しています。随時行う中間発表では、仲間からの率直な意見のほか、論文の書き方、アンケート調査の際の諸注意など末武教授から的確なアドバイスがなされます。

「ゼミ活動を通じ、学生たちには“共感性”を高めてほしいと考えています。人の心身の構造や機能・特徴は、それぞれ異なります。優劣・順位など狭い枠でとらえず、他者やクライアントと共感的理解を図り、深めてほしい」と末武教授は学生たちの成長に期待をこめます。

  • よりよきウェルビーイングの実現を願うゼミ生たち
  • パワーポイント資料を使った中間発表

ゼミ発のボランティアサークルで地域に貢献

臨床心理系ボランティアサークル「プレゼンス」の活動風景(町田市立武蔵岡中学校で)

臨床心理系ボランティアサークル「プレゼンス」の活動風景(町田市立武蔵岡中学校で)

「ゼミでは自分がやりたかった臨床心理の勉強を深められます」と元気よく微笑むのは稲本遥さん(3年)。福祉や心理を幅広く学びたいと大阪から、本学に入学しました。1年次には、“特別支援学級”や“障がい児の家族”をテーマにグループで、そして今年からは“笑顔”や“笑い”の心理などをテーマに個人研究しています。「ゼミは皆仲がよく、優しい先生の下で楽しみながら学べます。コミュニケーション能力をもっと高めたいと思っています」と意欲を語ります。最初はなかなか書けなかったという論文執筆にも次第に慣れ、確かな自信もついてきたようです。

今年4月には、末武ゼミ有志が、臨床心理系ボランティアサークル「プレゼンス(PresencE)」を立ち上げました。メンバーは学部生や他学部生、そして今年度より改組誕生した臨床心理学科の1年生など総勢30人ほど。「近隣小中学校で放課後活動をサポートしています。宿題や学習に重点を置きながら、いろいろな相談にも乗っています」とプレゼンス代表を務める野中貴美子さん(4年)。「心がけているのは、安心して話せる場を作ること。交流を通じ、子どもたちに“自己肯定感”を培ってもらいたいと思っています」と続けます。活動は、子どもたちや小中学校の先生方からも好評で、サークル名通り、地域に影響力を持つ“存在”となりつつあります。

ゼミは現2年生でちょうど10期目。OBOGたちは、ゼミ活動で養った“共感性”を生かし、公務員や会社員をはじめ社会のさまざまな分野で活躍。また大学院に進学し、臨床心理士となって活躍しているOBOGも少なくないそうです。