ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

アートと社会の関わりを探究(キャリアデザイン学部 荒川裕子ゼミ)

  • 2010年11月01日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2010.11.01
人と人をつなぐアート

荒川教授ゼミでは、アートを通じて人と人とをつなぎ、人と社会とを結ぶ実践的な研究を行っています。研究テーマは、アートの持つ創造性を土台として、職業としてのアートや生涯学習としてのアート、アートを用いたまちづくりなど、多岐にわたっています。「教室での学習だけでなく、ゼミでは毎年、さまざまなアート・プロジェクトを計画し、アートを介して『社会』と直接関わることを試みています。学生たちには、アート・プロジェクトの企画・運営・事後評価といった一連のプロセスを通して、アートの『つなぎ手』としてのノウハウやスキルを磨いてほしいと願っています」と荒川先生はゼミ生たちに期待をかけます。

現4年生たちが昨年行ったのが、「てのひらアート」というムック本の制作。アートに関わるキャリアを持つ人たちへのインタビュー、アートスポット探訪、芸術書評などのほか、ゼミ生たちは文字どおり“てのひら”をアートにした作品も作りました。「荒川ゼミに入って本当によかったと思います。普段は自由にやらせてくださる先生ですが、難事が発生したときのアドバイスなどとても頼りになります」と原菜々子さん(4年)。ゼミ生のチームワークの良さや積極性は荒川ゼミの伝統であり、皆いつの間にか染まってしまうのだそうです。

一方、現3年生たちは、11月22~26日に、美大生など学外の学生たちとコラボレーションした展示会「キャリアート」を学内で開催する予定で、着々と準備を進めています。企画の副リーダーを務める大宜見朋子さん(3年)は、「さまざまなアートやまちづくりに興味があり、荒川ゼミを選びました。文化や表現などをもっと学びたいと思っています」と意欲をみせます。ロックバンドや写真など、表現系のサークル活動を行っているゼミ生も多く、クリエイティブな話の輪もすぐに広がります。ゼミ生たちは、通常の授業だけでなくサブゼミも頻繁に実施し、毎週、濃密な時間を過ごしています。

  • 「てのひらアート」を作成中のゼミ生たち(2009年)
  • 活発なディスカッションを展開するゼミ授業

イベント企画を通じて成長する

「ファーレ立川」にてミュージシャンと記念撮影する立川計画メンバーのゼミ生たち

「ファーレ立川」にてミュージシャンと記念撮影する立川計画メンバーのゼミ生たち

3年生と4年生の合同ゼミで、アートに関わるさまざまなトピックスを個人やグループで研究し、発表するのが荒川ゼミのスタイルです。ある日の授業では、各自の研究について中間報告しました。「企業力とデザイン」「イベント創造とまちづくり」「吹奏楽とキャリア」など、多様なテーマの研究の進捗状況を報告。ディスカッションの中で荒川先生は、先行事例やインタビュー調査の手法などの話も織り交ぜ、ゼミ生たちの意識を高めながら、今後の研究の方向性について提案しました。「荒川先生は明るくフレンドリーです。先生からアート・マネジメントを深く学びたいと思っています」と話す山賀健太郎さん(3年)は、長髪のロッカー。ディスカッションでは、音楽好きならではの経験や解釈を生かした発言で討議を盛り上げました。

また、現在4年生たちが熱心に取り組んでいるのが、ミュージックビデオで東京都立川市を盛り上げようという地域文化振興イベント「FARET TUBE(ファーレチューブ)2010」です。立川近辺に住む荒川ゼミ生たちの発案で「立川計画」という団体を立ち上げスタートしたこの企画は、学生ミュージシャンや若手映像クリエーターに呼び掛けてミュージックビデオを制作、11月に立川市内の映画館(14、15日)と本学市ケ谷キャンパスで上映会を行う、まちおこし計画です。公募したオリジナル楽曲に対して、YouTubeを通じて一般の人々による人気投票を行うなど、webを通じた“つながり”と“広がり”も意識。学生によるユニークな地域振興企画として、新聞やテレビなど多くのメディアにも取り上げられてきました。立川市や地元NPOなどの協力も得たほか、作曲家のコモリタミノル氏にも特別審査員を快諾いただきました。「著作権に関する書類のやり取りなど初めてのことも多く、戸惑いもありましたが、皆で夢中になって取り組んでいます」と大西未希さん(4年)。マネジメント意識も日々高まっています。現在はミュージックビデオの制作のために、立川市と学内の映像スタジオを往復する日々が続いていますが、熱きハートの4年生たちはイベント成功に向けて邁進しています。