ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

法と企業(法学部 荒谷裕子ゼミ)

  • 2010年10月12日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2010.10.12
頭で考え、皆で考える

近年、日本経済や企業経営環境はめまぐるしく変化。企業の合併・買収やファンドの動向、インサイダー取引などのニュースがメディアでも大きく取り上げられています。荒谷教授ゼミでは、「会社法」「金融商品取引法」を学びながら、次々に沸き起こる金融や経営に関する時事問題や課題についても理解を深めています。

9月下旬の授業では、発表者が“種類株式と企業買収”についてまとめたレジュメを元に、ディスカッションしました。議決権制限株式や譲渡制限株式、またソニーが2001年に発行したトラッキング・ストック、日本の特殊性などについても話は及びました。発表や荒谷教授の発表者への問いかけに真剣に耳を傾け、質問タイムになるとパッと手が挙がり、活発な討議が行われる様子は荒谷ゼミの象徴でもある大きな魅力。ゼミ長の三好彩加さん(3年)は「言いたいことを言い合って、勉強も遊びも充実しているのが荒谷ゼミです」と話します。個人的には“取締役の説明義務”などに興味を持ち深く学んでいるのだといいます。

この日の授業中の荒谷教授が何度も繰り返したのが「丸暗記するだけではだめ。しっかり頭で考えなさい」という言葉です。「学生たちには社会に出てから役に立つ基礎知識をゼミで身につけてほしいと思っています」と荒谷教授。商法の分野は法律の改正が多く、2006年に会社法が独立施行されたり、2007年には証券取引法が金融商品取引法と名称変更されるなど、実体経済に伴い法制度が変化している分野です。咀嚼して理解、事例や判例など社会とのつながりを認識してこそ“実のある”知識となるのです。

「ゼミに入ってからは新聞の経済記事を注目するようになりました」と話すのは松田梓さん(4年)。ゼミで培った知識で、ニュースを深く理解できるようになったので、より興味も高まったのだそうです。

  • 東京証券取引所を見学
  • 頭で考える荒谷ゼミの授業

模擬裁判、事例研究などで多様な学びを

白熱した夏合宿の模擬裁判

白熱した夏合宿の模擬裁判

法学部のカリキュラムでは3年次以降に会社法や金融商品取引法などを学びます。学部の各ゼミでは毎年秋に、2年生に対して「公開ゼミ」を行い次年度の入ゼミ生を募りますが、ゼミやその専門分野をアピールする機会だけに力が入ります。「昨年の公開ゼミに参加して、志願しました」という上田真也さん(3年)は「最初に感じたように、頼りになる先輩たちです」とゼミでの学びに力を注ぎ成長しています。

「ゼロからのスタートで専門を学べるのもこのゼミの魅力。メリハリもついていて楽しいですね」と小向香沙美さん(4年)。企業買収の攻防戦などがリアルタイムで起こっているときは、法的視点を生かして考察するそうです。事例・判例研究の際など、学生たちからはさまざまな意見が出ますが、荒谷教授は間違いはきちんと正しながらも、優しく耳を傾けてくれるそうです。「そういう解釈もあるわね」とメモを取ってくれるときなど、ゼミ生たちは専門学習の喜びを実感するそうです。

9月中旬には、恒例の夏合宿を富士セミナーハウスで実施しました。大きく2グループに分かれ、「優先株予約権」や「取締役の責任」など荒谷教授が指定したテーマについて、原告と被告の代理人の立場になって模擬裁判を実施しました。大学院入試レベルの課題内容とあって、各グループは夏休みに集まってサブゼミを実施。しっかりと事前準備をして臨みました。このほか6月には東京証券取引所の見学も行いました。

松田海さん(4年)は「ゼミでは素晴らしい先生と、一生付き合える素敵な仲間に出会えました」と笑顔を見せます。OBOGたちは金融をはじめ、メーカーや外食・サービスなど各分野に就職しているほか、資格取得やロースクール進学でプロフェッショナルの道へ進むゼミ生も少なくないそうです。