ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

まちを歩け(人間環境学部 石神隆ゼミ)

  • 2010年10月04日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2010.10.04
「サステイナブルなまちづくり」を考える

石神教授ゼミでは「サステイナブルなまちづくり」を大きなテーマに、都市や地域に関した事例研究を展開しています。「毎年度、学生たちには、まず課題を探すところから始めさせます」と石神教授。「基本文献の購読はもちろん、そのうえで、物事を調査・研究するには現場を巡り“足で考え”“汗で書く”ことが大切」とフィールドワークの大切さを強調します。学生たちも、その期待に応え活発な討論と、若者らしい行動力を発揮しながら学んでいます。

年度初めに皆で話し合って決めた今年の大きなテーマは「都市(東京)の観光」。「自然」「交通」「土地利用」「レジャー」「商店街」など項目別にグループに分かれ調査を進めています。「自然」班では都内の庭園に着目。その魅力の再発見に努めています。これまでは、ゆっくり庭園を訪れることも少なかったという学生たちですが、「インターネットなどを活用。歴史背景なども深く調べたいと思っています」と安岡鮎美さん(3年)。日比谷公園の花壇維持のボランティアに携わるなど緑化活動に関心の高い松本美緒さん(4年)も「自分で写真もたくさん撮って調べていきたい」と積極的です。和気あいあいと庭園巡りのプランを練りました。

ゼミ生たちは今年度の調査方針として、“現在・過去・未来”意識した考察を心掛けているといいます。「レジャー」班の網野彬子(4年)さんは、「現在建設中のスカイツリーで今後の発展が注目される墨田区でも、博物館や老舗の和菓子屋など歴史や伝統などの面にも着目しています」と時間軸を意識した調査に意欲満々です。

各グループは、数回の中間発表を行いながらフィールドワークを継続し研究を深め、12月下旬の最終発表に向けブラッシュアップしていきます。

  • ゼミ生の興味を膨らませる石神教授
  • 斬新なアイデアが提案された構想発表会(今年7月)

まち自体が教科書。他ゼミとの共同調査研究も

麻布周辺のまち歩き(今年6月)。寺門と高層マンションの対比が印象的です

麻布周辺のまち歩き(今年6月)。寺門と高層マンションの対比が印象的です

グループワークのほかに、ゼミでは月一回程度のまち歩きを行っています。「歩いて肌で感じながら学ぶゼミです。先生がまちについて教えてくださるエピソードはいつも面白く、奥深い知識を感じます」と橋本博司さん(4年)。今年は、麻布や門前仲町などを歩き、10月には通称・谷根千(谷中・根津・千駄木)の下町を散策しました。また毎年、夏には合宿を兼ねて、国内各地を研究旅行しています。これもまた、まちや自然、観光資源などを歩く旅。今年は、伊勢、奈良などを巡りました。まち歩きや研究旅行では、一日に数箇所を巡るため、歩数が2万5000歩を超えることも、しばしばなのだそうです。

ゼミでは、学内の他学部ゼミとも協働で活動しています。千代田区の2010年度「千代田学」事業に採択された「千代田区内の事業所における自転車利用の実態とレンタサイクル導入の可能性」(代表・永井進経済学部教授)の調査研究に、永井ゼミとデザイン工学部の宮下清栄教授研究室と一緒にあたっています。石神ゼミでは、「交通」「土地利用」班がサイクル観光マップなどの作成などを担当。永井千春さん(4年)は「実際に自転車に乗って、確かめると様々な発見があります。学生ならではの目線を生かしたマップを提案したいです」と話します。

個性的なメンバーが集まったゼミでは討議も弾みます。「とても自由な雰囲気なゼミですね」とゼミ長の細見尚吾さん(4年)。「すべて自分たちが主体で計画を立てて進めるので、実感とやりがいがあります」と続けます。「まち自体が教科書。積極的に使わない手はありません。まして現場に立った印象や経験は強烈。学生たちも一生忘れないことでしょう」と石神教授もアクティブな学びで成長していくゼミ生たちを優しく見つめています。