ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

現地調査から文献研究まで幅広い活動に対応しながら学生の可能性を引き出す(社会学部 仁平典宏専任講師ゼミ)

  • 2010年09月20日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

限界集落についての問題提起をするドキュメンタリーを制作

前列左から、外山めぐみさん(メディア社会学科3年)、仁平典宏専任講師、佐藤萌美さん(社会政策科学科3年)、後列左から、坂井佑輔さん(メディア社会学科3年)、大房和幸さん(社会学科4年)、八田岳大さん(社会学科4年)、松原祐太さん(メディア社会学科3年)、西河恭平さん(メディア社会学科3年)

前列左から、外山めぐみさん(メディア社会学科3年)、仁平典宏専任講師、佐藤萌美さん(社会政策科学科3年)、後列左から、坂井佑輔さん(メディア社会学科3年)、大房和幸さん(社会学科4年)、八田岳大さん(社会学科4年)、松原祐太さん(メディア社会学科3年)、西河恭平さん(メディア社会学科3年)

リーマンショック以降、日本の社会には格差の拡大や雇用危機、貧困、地域の衰退といった問題が顕在化しています。仁平ゼミでは、こうした問題を社会学的なアプローチから追求しています。

昨年度のテーマは、住民の半数以上が65歳以上の高齢者で、生活の再生産が困難になる「限界集落」。夏合宿では、行政に頼らず、自分たちの力で地域を活性化しようと、住民全員が参加するNPO法人「がんばらまいか佐久間」を設立した、静岡県浜松市の佐久間町を訪れ、現地調査を行いました。外山めぐみさんは「客観的にみれば厳しい状況なのに、誰も佐久間町を出たいとは言わず、全員で一丸となって頑張っている姿に、私たちも何か協力したいと思いました」と話します。

これはゼミ生全員の思いでもありました。「佐久間町のような取り組みは、論文という形ではなく、誰にでもわかる形で広く伝えたいと考え、ドキュメンタリーを制作することにしました」(坂井佑輔さん)。10月に再び同町を訪れ、全員で取材を行い、それを20分の作品にまとめたのです。さらに、東京の大学生にもこうした問題があることを知ってもらいたいと、4月に学内で上映会を開催。「撮影も編集も初めてでしたが、春休みを返上して作品作りをした結果、自分たちが伝えたいことは、ある程度伝えることができたと自負しています」(松原祐太さん)というように、好評価が得られました。

今年度は、相模原地域を対象に、各自が関心を持つテーマを追求しています。佐藤萌美さんは「相模原市にある公立学校とは全く異なるカリキュラムを持つ、シュタイナー学園の教育やその現状などについて調べています」といいます。このほか「障害者福祉に興味があり、相模原における障害者福祉の現状や、障害者自立支援法が及ぼした影響などについて考察したい」(西河恭平さん)というものや、「この地域の沖縄県人のコミュニティなどを取材して、地方出身者の都会における意識変容を追ってみたい」(大房和幸さん)など、テーマはバラエティーに富んでいます。

仁平専任講師は「学生が異なる関心から捉えた相模原の姿を、1つに集めた上で、改めて相模原という地域の特性を浮かび上がらせたいと考えています。テーマは毎年変化しますが、学生の多様な要求にできるだけ応えられるゼミでありたいと思っています」と語ります。

「昨年のドキュメンタリーは、社会学部の学部研究発表会で惜しくも2位。今年は、相模原に関する論文集をまとめ、全員の力で優勝を目指したいと思っています」(八田岳大さん)との言葉通り、ますます活気あふれるゼミになりそうです。

(雑誌「法政」2010年9月号より)