ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

現実社会の実相から福祉を学び返す(現代福祉学部 中村律子ゼミ)

  • 2010年07月05日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2010.07.05
福祉施設でフィールドワーク。互いのアドバイスで高めあう
<現代福祉学部は2010年、福祉コミュニティ学科と臨床心理学科に再編。2~4年生の所属は現代福祉学科>

高齢者福祉や、“老い”の社会的・文化的研究を専門としている中村教授。ゼミでは、事前勉強を含めた内容の濃いフィールドワークと文献研究を効果的に展開し、ゼミ生たちの社会福祉への理解を深めています。「“福祉”は現実の社会で起こっている問題であり、その状況を解決していくための学問です。その意味でもフィールドワークと文献研究の両方から積極的にアプローチしてほしい」と中村教授は学生を鼓舞します。

ゼミは、企画立案から学生が主体となって運営。2年次に複数回行うフィールドワーク先を選ぶのも学生たち自身です。「昨年は特別養護老人ホーム、児童福祉施設、認知症グループホーム、“貯筋体操”体験、専門施設を使った視覚障害者体験など幅広く行いました。現場を知ることで、視野はとても広くなった気がします」と武内直人さん(3年)。認知症グループホームでは買い物の付き添いや、入居されている高齢者自ら調理・準備する昼食のサポートなどにも携わりました。ゼミ生たちは、福祉の最前線で参与観察するなかで、入所者や利用者、施設で働く人たちの生の声を聞き、意識を高め、卒業論文につながる個人テーマ研究を膨らませていきます。

このほか、ゼミでは、論理的な思考力やコミュニケーション能力、さらには議論する面白さを身につけていくためにディベートなども実施します。6月初旬には3年生6人が『人は見た目か?』というテーマでディベートしました。武内さんと同じ肯定派チームだった中谷隆太郎さん(3年)は、見た目による第一印象の重要性などから論を張りました。「主張が(審判役に)伝わりやすいように、分かりやすいビジュアル的な資料も作りました。あいまいな部分で反論を受けたりしましたが、いい経験になりました」と中谷さん。審判役を務めた4年生と、飛び入り参加した2年生たちは真剣に聞いたうえで講評。その言葉には、福祉に関わっていく強い意志や、アドバイスしながら助け合い高めあっていく優しさ、気概が込められていました。

  • 2年生の授業は研究室で実施
  • ゼミ授業で行ったディベート風景

福祉を学び、仕事にする

仲がよく、互いに高めあうゼミ生たち

仲がよく、互いに高めあうゼミ生たち

「私にとってゼミは知識の幅を広げる場。中村ゼミでは優しい先生の下、机上の勉強だけでなく、いろいろなことを学べます」と話すのは塩屋園桃さん(4年)。多様で奥深い福祉の知識習得に意欲的で、明るく活発な4年生のなかでもリーダー的な存在です。一方、「福祉を深く学ぶにしたがって皆、やりたい方向は分かれてきますが、互いに尊重し合い意見交換することで、さらに深く学べる気がします」と話すのは武内佑樹さん(4年)。ユーモアセンスや豊富なチャレンジ精神で、ゼミの雰囲気を盛り上げます。

6月初旬のディベートの際に、進行役として冷静かつ和やかにディベートを進めた原香織さん(4年)は特別養護老人ホームへの就職を内定しています。「体力勝負ですが、好きなことですので頑張りたいと思っています。卒業論文では、『高齢者にとって、主体的に働くことの大切さ』を考察するつもりです。インターンシップ先でも、「仕事があることによって生き生きとする高齢者の姿を見てきました」と目を輝かせます。

卒業論文は400字×50枚の大作。「2年次から関心を持って、継続して取り組んでいるテーマに絞りこみ、卒業論文にする学生が多いですね。また、ゼミ生個々の、フィールドと理論をつなげようとする意欲がゼミ全体のレベルを押し上げてくれているように感じます」と中村教授も、今から出来栄えを楽しみにしています。

現代福祉学部では、ほとんどの学生が各種のボランティアサークルなどに所属。また、福祉系の中村ゼミでは多くの学生が「社会福祉士」の資格取得を目指しているため3年次の夏休みにはソーシャルワーク実習(4週間(180時間以上)も経験します。福祉に真剣に向き合う学生生活を通じ、学生たちは試行錯誤しながらも日々成長しています。