ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2年次から4年次まで一緒に学ぶことで先輩、後輩の強い絆が生まれる(文学部地理学科 佐藤典人教授ゼミナール)

  • 2010年04月20日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

ビル風から大気循環まで研究テーマは多彩

後列左から小口淳平さん(3年)、情野岳彦さん(3年)、佐野由佳さん(4年)、佐藤里歩さん(3年)、前列左から東林太朗さん(3年)、佐藤典人教授、金沢絵里香さん(4年)(学年は2010年3月現在)

後列左から小口淳平さん(3年)、情野岳彦さん(3年)、佐野由佳さん(4年)、佐藤里歩さん(3年)、前列左から東林太朗さん(3年)、佐藤典人教授、金沢絵里香さん(4年)(学年は2010年3月現在)

ヒートアイランド、局地風、特異日、天気界…。いずれも佐藤典人教授ゼミの研究テーマの一例です。総勢50人以上の大所帯ですが、6~8人の班に分かれて、気候学・気象学がカバーする領域から自由に研究テーマを設定。1年間かけて観測や解析などを行い、10ページの報告書にまとめています。

「ある地域に特定の気象現象から地球規模の気候変動まで、広範なテーマを扱える点が最大の魅力です。各班はそれぞれのテーマで探究していますから、その発表を相互に聞くことで、ゼミ生は文字通り広く深く学ぶことができます」とゼミ長・東林太朗さんは話します。浜松における海風と季節風の影響を屋敷林の位置から解明しようとした小口淳平さんは「新たな発見はできませんでしたが、空中写真の立体視などの手法を用いて、実証的な研究ができたと思います」と言います。市ケ谷キャンパスでビル風の観測を行った佐藤里歩さんも「ボアソナード・タワー周辺やピロティ下の風が強いことは経験的に知っていましたが、周辺の風とは明らかに異なる特殊な風の存在を確認できました」と成果を語ります。

研究の進捗状況に合わせて、各班とも前期・後期に各3回ずつ途中経過を発表します。夏合宿は4年生の卒論中間発表を中心に、スポレクにも力を入れています。「班分けは大人数を指導するための苦肉の策ですが、班ごとに行う一連のゼミ活動は、卒論を書くための基本的な研究手順を理解する上でのトレーニングと位置付けています。最後には健康な身体が不可欠ですから運動の時間も重視しています」と佐藤教授は語ります。

こうしたゼミのシステムは学生にも好評です。金沢絵里香さんは「ゼミ生が多いことは私にとってはメリットの一つです。先輩たちから貴重なアドバイスをもらえますし、学年を超えた縦の人間的なつながりが広がっていくからです」と言います。また、佐野由佳さんは「2年生からゼミに所属し、上級生に混ざって何度も発表を重ねるので、分かりやすく伝えるプレゼン力が身に付きました。就職活動でも大いに役立ちました」と振り返ります。

子どものころから空に興味があったり、身近な天気への関心が高かったり、ゼミに入る動機はさまざまです。地図を作りたくて地理学科に入学した情野岳彦さんは「しかし、天気図を書いてみたらそれが楽しくなって…。毎日継続して書くことで大気の動きをダイナミックに追うことができます。現在、気象予報士の資格取得を目指しています」と抱負を語ります。気候学・気象学に惹かれる学生が増えていくのは、佐藤ゼミがそれだけ魅力的だからです。

(雑誌「法政」2010年4月号より)