ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

福祉サービスの対象者や家族の状況を理解し彼らに寄り添うことのできる専門家を育てる(現代福祉学部 佐藤繭美准教授ゼミナール)

  • 2010年03月20日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

インタビューを通して当事者支援の課題を追求

後列左から、長谷川恵さん(2年)、芝田裕太さん(3年)、松澤望美さん(3年)、前列左から、高倉あさ美さん(3年)、神田将弘さん(2年[ゼミ長])、佐藤繭美先生、内海恵祐さん(3年[ゼミ長])、熊倉由佳さん(3年)

後列左から、長谷川恵さん(2年)、芝田裕太さん(3年)、松澤望美さん(3年)、前列左から、高倉あさ美さん(3年)、神田将弘さん(2年[ゼミ長])、佐藤繭美先生、内海恵祐さん(3年[ゼミ長])、熊倉由佳さん(3年)

佐藤繭美准教授ゼミのテーマは「家族福祉」で、特に「当事者支援」に力を入れています。福祉サービスの対象者だけでなく、その家族も含めて当事者ととらえ、その実情を丹念に整理していくことで、社会福祉のあるべき姿を追求しています。

ゼミのメーンイベントは、当事者である自閉症の子どものお母さんや、認知症の母親を介護する人、福祉施設の職員などをゲストスピーカーとして招き、インタビューを通して福祉現場の現実を把握することです。そこから課題を見つけ、解決の道を探っていきます。「ただ、知ったかぶりで話を聞いても、『あなたに何が分かるの?』ということになりかねません。そうならないためにも、十分な準備が必要なのです」と、芝田裕太さんは話します。ですから、制度や当事者心理など、テーマごとにグループに分かれて事前学習を行っています。

松澤望美さんは「グループごとにプレゼンを行って事前学習の成果を発表しますが、詰めが甘いと先生から厳しく指摘されるので、ゼミの前日にはほぼ全員がパソコン室に集まるほど、頑張って勉強しています。その厳しさを経ているためか、佐藤ゼミには強い連帯感があります」といいます。神田将弘さんも「DVを調べていく段階で、加害者が100%悪いと思い込んできた自分の考えが変化し、多様な視野からとらえられるようになりました」と事前学習の重要性を語ります。

ゲストスピーカーは、過去の悩みや気持ちなどを率直に話してくれます。そのため、ゼミ生の心には強い印象を残します。高倉あさ美さんは「もっといろんなことを聞きたいという思いがあふれてきて、自分の中で収拾がつかなくなることがあります」と振り返ります。

ゲストスピーカーのインタビュー後は、ディスカッションを行います。「3年生は、それぞれ追求するテーマをもっています。同じ話を聞いても、それに対する意見はまったく違います。こうした異なる視点から刺激を受けることが、佐藤ゼミの最大の魅力です」と内海恵祐さんは話します。

当事者支援については、ソーシャルワークの制度設計や政策立案などに、家族会の活動が大きく関与しているという状況があります。今後、佐藤ゼミでは、家族会との連携を深めながら、フィールドワークを通して家族福祉を考えていく予定です。指導する佐藤准教授は「気持ちに余裕がないと、他人に関心がなくなり、福祉サービスも暗いものになりがちです。ですから『明るく、楽しく』をモットーに、今後も充実したゼミ活動を展開していきたいと思います」と抱負を語っています。

(雑誌「法政」2010年3月号より)