ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

人や組織を考察する(キャリアデザイン学部 林洋一郎ゼミ)

  • 2010年02月01日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2010.02.01
実証的サーベイを重視する研究

林准教授の専門は、産業・組織心理学や社会心理学。ゼミでは、まず前期に同分野に関係した日本語や英語の学術論文を輪読。一定の基礎力がついたところで、後期からはグループ別にテーマを決め調査やアンケートを実施し、SPSSという統計ソフトなどを用いて分析・考察しながら、論文を作成します。

調査といっても堅苦しさを感じるものではありません。タイムリーで斬新なテーマを理論的に分析してこそ、研究の面白さがあります。今年度、3年生が2グループに分かれて行ったのは「大学生の就職意識調査」と「草食系男子のアンケート調査」。草食系男子について調査した坂本仁美さん(3年)は「林先生には、みんなが興味を抱く“キャッチー”なテーマを学術的に考察するから面白いと教えられています」と目を輝かせます。一方の就職意識調査は、“ポリシー・キャプチャリング法”という方法を用いて対象者の意思決定スタイルを実験的に明らかにしようとしています。「少ない被験者でも多くのデータを取れる研究法です。学内外の学生からデータを集めました」とゼミ長の小高勇太さん(3年)は話します。

ゼミ授業は討議を重んじるスタイルです。1月初旬の授業では、2月に行われる学部の発表会に向けたグループ研究の推敲とプレゼンテーション法について活発なディスカッションが行われました。自らの経験なども交え、「『仮説』と『分析結果』の対応をきちんと発表するように」などと、優しく、かつしっかりとゼミ生を鼓舞した林先生は「学生たちには、思い付きだけでなく、根拠を持った(エビデンスに基づいた)説明や議論をするようにと諭しています。学生たちの意欲は高く、中には半年で驚くほど伸びる学生もいます」と期待をかけています。

  • 基礎の大切さを伝える林先生の授業
  • 討議を重んじるゼミ授業風景

自由な学びで、鋭い洞察力を養う

夏合宿先の道後温泉で集合写真

夏合宿先の道後温泉で集合写真

「林先生は根っからの研究者タイプ」とゼミ生たちは口をそろえます。日ごろから研究について熱く語り、注力する姿はゼミ生たちを触発します。「問題意識を持つことと、基礎の大切さを先生は常に強調されます」と渡邉さとみさん(3年)。その一方で、学生の自由な学びを尊重しながら高めてくれる、優しく気さくな学問の先輩でもあります。石田綾さん(3年)は「草食系男子の調査は興味深いものでした。専門性を高め、卒業論文もしっかり作成したいと思います」と意欲的です。

「面白いものはとりあえず、取り組んでみようという意欲のあるゼミです」と高玉一斗さん(3年)が話すように、個性的なゼミ生たちの結束は抜群。真面目に勉強するだけではなく、サブゼミを含め、みんなで活動する時間を大切にしており、研究以外の活動にも積極的です。ゼミ合宿(09年度は、四国の金比羅山や鳴門などを訪問)もゼミ生たちが楽しみにするイベントになっています。

「統計法とはテクニックではなく、現象を理解、分析するための枠組みを提供するものです。ゼミで学ぶ、ものごとを客観的にとらえる洞察力やリサーチ力といったスキルや、グループ研究によるチームワーク意識は、社会に出てからも大きな力となるはずです」と林先生は話します。

4年生は卒業論文を作成します。牛島恵利子さんは“リーダーシップと公正がフォロワーのパフォーマンスに与える影響”について「所属するジャズダンスサークルの仲間にアンケート調査し論文作成しました」と話します。愛着ある身近な組織だからこその考察や、新しい気付きが論文には込められています。