ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

「ミクロ経済学」を徹底的に読み込み経済問題に対する分析方法を理解する(経済学部 奥山利幸教授ゼミナール)

  • 2010年01月20日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

進級論文を発展させ卒業論文として結実

左から奥山利幸教授、濱屋知宏さん(経済学科3年)、上原賢人さん(経済学科 3年)、小髙拓実さん(国際経済学科4年)

左から奥山利幸教授、濱屋知宏さん(経済学科3年)、上原賢人さん(経済学科 3年)、小髙拓実さん(国際経済学科4年)

困難な課題への挑戦を通して、人は知らないうちに成長する―この言葉がぴったり当てはまるのが、経済学部の奥山利幸教授のゼミです。活動の中心は、教授が著した約400ページの教科書『ミクロ経済学』を、半年間かけて読み進めていくというものです。1グループ3人で分担を決めて読み込み、2時限続きのゼミの時間に2グループが発表。質疑応答やディスカッションなどを通して、全員で当該部分の内容を理解するというスタイルで行われます。

これは2年生にとってなかなかハードな作業です。上原賢人さん(3年)は「経済学の基礎となる理論をしっかり身に付けたいとこのゼミに入ったのですが、内容が難しいため、発表前にグループのメンバーで何回も集まって理解を深めたり、大学院生に相談に行ったりしながら発表に臨むのですが、その準備が本当に大変です」と話します。

ゼミでは、各学年末に進級論文が課されます。進級論文を段階的に発展させて卒業論文に結実させるのですが、そのためには3年生の進級論文が卒論の7~8割のレベルに達している必要があります。そこから逆算すると2年生の段階での到達度が非常に重要です。そこで、経済問題を分析するのに不可欠なミクロ経済学の基礎理論を2年生からしっかり学ぶようにしているのです。

「最初は消化不良を起こして、苦しい思いをしていますが、それを何とか乗り越える努力を続けると、1年間で大きな力が身に付きます。4月の段階では、2年生と3年生の実力の差は、そこに絶壁があるかのごとく歴然としています」と奥山教授も語っています。

今年から経済学部で始まった学生の研究発表大会では、全41報告のうち、5報告が奥山ゼミの学生で、いずれもレベルの高い発表でした。発表を経験したゼミ長の濱屋知宏さん(3年)は、「高度な内容を扱ったため、原稿を読むのが精一杯で、聞き手に理解しやすい表現をするというところまでは気が回りませんでした。ですから先生にお願いして、プレゼンの能力を高めるような講習会を開いてもらいました」といいます。

毎年、同じスケジュールで進行するため、3年生はミクロ経済学の教科書をもう一度最初から復習することになり、それが経済学の理論を深く理解することにつながっていきます。3年間このゼミで学んだ小髙拓実さん(4年)は「発表を通して、何があっても途中で投げ出さない忍耐力が身に付きましたし、数式にどんな経済学的な意味があるのかも理解できるようになりました。自分で力が付いたなと実感できるゼミです」と話しています。

(雑誌「法政」2010年1・2月号より)