ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

セキュリティとネットワークコミュニケーション技術(理工学部 応用情報工学科 金井敦研究室)

  • 2009年12月07日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

院生の所属は工学研究科情報電子工学専攻

2009.12.07
斬新な発想で新提案

インターネットの活用で発展する情報ネットワーク。金井教授研究室では現在8人の大学院生が、数チームに分かれWeb上のセキュリティーの向上や、新たなコミュニケーション技術を開発研究しています。「情報社会の発展に伴い、このところ個人情報流出や、ネットワークを利用した詐欺も増えています。一般の方が、安心して、安全にWebを使える環境を実現するため研究を重ねています」と金井教授は言葉に力を込めます。

安井良介さん(修士2年)が研究しているのが『Web上でのプライバシー露出状況の検出判定技術』。ホームページやブログ、掲示板の普及でWeb上には、当の本人が意識しないうちにたくさんの個人情報が氾濫、漏洩している場合があります。「名前を入力すると、クローラというプログラムがWeb上を検索し、漏洩危険度をレベル1~5で通知してくれるサーチエンジンを研究しています」と安井さん。取り扱う個人情報は、名前のほか所属先や住所、身長・体重、血液型など30~40の指標だそうです。この成果は来年、国際会議で発表する予定です。

一方、“イメージ・ユビキタス・ネットワーク”と名付けた、自由に撮影されたさまざまな画像・映像情報を収集・検索・活用する技術を開発しているのは、土斐崎博さん(修士2年)です。建物などの写真や映像に位置情報(方位、方向、仰角)を組み込むことでシームレスな映像切り替えを実現、目標物を捕捉したり視野を変えたりもできる技術です。「今は6、7割ぐらいの完成度です。仰角をとるセンサーなどの調整に苦労しています」と土斐崎さん。「個人ユーザーのニーズのみならず、Web上で検索ができるようになれば、建物物件を探したり、マーケティング調査する企業ニーズにも応えられます」、と可能性に夢を膨らませます。

  • コミュニケーションとディスカッションが新しい技術を開きます
  • 位置・方位・仰角情報を含む画像や映像の収集・検索表示技術に取り組んでいます

斬新な発想でWebの未来を開く

夏合宿で記念写真

夏合宿で記念写真

日々、進化する情報社会において、セキュリティ技術(プライバシーを保護する技術や、認証技術、暗号など)が求められる一方で、さらなるコミュニケーション技術の向上も求められています。「学生には、大局観を持って、世の中の情勢を読むことを諭しています。利用者の側に立って、難しいことを分かりやすく説明できること、そして議論をぶつけ合えてこそ、斬新な発想が生まれるのです」と金井教授は話します。

後藤慎弥さん(修士2年)が取り組んでいるのは“Wegru(ウェグル)”というWeb上の新しいコミュニケーション技術です。「Wegruは“Web”で“グループ(Group)”になる、という意味。私が作った造語です」と後藤さん。一般的に、複数の人があるWebページを閲覧していても、その存在は互いに気付けません。ウエグルは、同じページを閲覧しているユーザー同士が互いをリアルタイムで把握することで、雑談や質疑応答など臨場感を持ったインフォーマル・コミュニケーションを実現しようという発想です。同時に見ているホームページをキーとしてさまざまな意味で新たな交流が導けるはずです。「データベースが爆発的に増えるスケーラビリティの問題など、まだまだ課題は多く残ります」と話す後藤さん。来春修了し就職するため、研究の継続と完成は、ともに研究を行っている修士1年の後輩に託すことになるそうです。

本学では2008年からの新しい研究室ですが、魅力的な研究の歴史は脈打ち、継承も着々と行われています。研究室所属の3年生十数人も来年度からは本格的に研究に取り組みます。「鍛えがいがありそうですね。学生には自主的に研究に取り組んでほしい」と金井教授も期待をかけます。急速に普及すると思われるクラウドコンピューティングなど新しいシステムの情報セキュリティ技術にも積極的に取り組んでいくそうです。