ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

家族法と遺伝学(法学部 和田幹彦ゼミ)

  • 2009年11月23日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2009.11.23
新しい問題を自分で発見し、自分で考える

社会の基本的で重要な構成単位である“家族”。和田教授ゼミでは、家族や家族法(親族法・相続法)を素材として、法のみならず文化や生命工学、法解釈学の観点から幅広く考察しています。家族をめぐっては、旧来からの問題のみならず、夫婦別姓や人工生殖、デザイナーチャイルドなど新しいテーマも山積み。人間が社会で生きていくことに深くかかわっている民法のなかでも、興味深い分野です。

11月初旬の授業では個人発表が行われました。テーマの『不貞行為』についてレジュメをまとめた宮澤さん(4年)は「ドロドロした複雑な家族やカップルをめぐる関係性に興味を抱き、深く知りたいと思いました」と話します。判例や事例研究を行ったのはもちろんですが、レジュメには実用情報をも加え、発表時にはゼミそれぞれの“浮気”の定義や解釈を挙手で示してもらうなど、参加型の趣向を盛り込んで、教室は大いに盛り上がりました。

「家族法や、法と遺伝学は最先端の分野といえます。学生には『新しい問題を自分で発見し、自分で調べて答えを見つけてほしい』と繰り返し言っています」と和田教授。このところ世を騒がせているモンスターペアレントについての法的問題の発見と解決策など、和田教授を驚かす切り口の発表をする学生もいるそうです。

ゼミで討議するテーマは、倫理の解釈にかかわることも少なくありませんが、和田教授は、さまざまな意見に優しく耳を傾け、尊重します。「フレンドリーなゼミなので、思う存分、意見を発表できます。人によって意見が違うのも面白いですね」と話すのは飯田さん(3年)。一方、杉田さん(4年)は「テーマを含めて、自由度が高いゼミです。ディベートにも力を入れていますので、人前で話すこともうまくなりました」と胸を張ります。

  • 積極的なゼミ生たち
  • 優しく、さまざまな意見を尊重する和田教授

ディベートと模擬裁判

フレンドリーな和田ゼミ

フレンドリーな和田ゼミ

自分の頭で考え、議論するトレーニングとして和田ゼミが積極活用しているのが、“肯定”と“否定”の両チームに分かれ議論で対抗試合をするディベートです。9月の夏合宿でも4人組のチームに分かれて討議に熱中しました。各チームとも肯定・否定の双方の立場から議論をすることにしているため、みんなが問題を深く理解し、両サイドの観点からの考察を深めていないと、好勝負にはなりません。「人間には感情がありますが、論理的にできるのがディベート。一つのテーマに持続的に取り組めるのも和田ゼミならでは」と話すのは元・ゼミ長の五十嵐さん(4年)です。

また、ゼミでは模擬裁判も実施します。3年生が行うという今年度のテーマ事案は“十年間セックスレスの夫婦の離婚訴訟”と“性同一性障害による性別変更の要求”。模擬裁判に中心的にかかわっている橡尾さん(3年)は3年生のゼミ長。精神的な柱としてみんなから頼りにされています。「先生の大きなサポートの下、みんなで役割分担しながら取り組んでいます」と準備に余念がありません。

「社会に出てからはコミュニケーションも大切。一人でぽつんとしているのではなく、個性を生かしながら、チームワークも磨いてほしい。今年のゼミ生たちは特に積極的で、成長が楽しみ」と和田教授は期待を高めています。毎週の出席調査票の裏に、ゼミ生たちはその日の授業の感想を記します。それをまとめて「和田ゼミしんぶん」として毎週、当番が編集し、ゼミ活動にフィードバックするそうです。

社会の第一線のさまざまな分野で活躍している個性的なOB・OGも多く、12月には就職相談会を兼ねたOB・OGとの懇談会も実施するそうです。