ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

情報技術を駆使し産業界で商品化できるようなモノやシステムを開発(情報科学部 吉田健治教授研究室)

  • 2009年10月20日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

毎回作成される議事録がいい意味でプレッシャーに

吉田研究室のメンバー全員が勢ぞろい

吉田研究室のメンバー全員が勢ぞろい

あの“デジハリ(デジタルハリウッド)”を創立し、見えないドットコードを発明して、それを応用する会社に特許をライセンスする吉田健治教授の研究室は、情報科学部で最も人気が高い研究室の一つです。「見えないドットコードによる自動認識技術の利用開発」「裸眼で見える立体映像システムの研究」「3Dカメラによる人の動作とコンピューターとの新たなインターフェースの研究開発」の3つが主な研究テーマです。

「産業界で商品化できるようなものを開発していこうというのが研究室の基本方針です。私自身、解決できない問題はないと考えていますので、学生には、今の技術では難しく思われても、できるだけ自分で問題を解決するように指導しています」と吉田教授は語ります。

2mm 四方単位で印刷された300兆の「見えないドットコード」を拡大して表示

2mm 四方単位で印刷された300兆の「見えないドットコード」を拡大して表示

見えないドットコードは2ミリ四方に小さな点を印刷したもの。飯田慎之介さんは「これをグーグルのストリートビューと関連付け、行きたい場所の地図をなぞるだけで、その場所の映像が次々に現れるようなアプリケーションの開発を行っています。斜路も確認できるため、障がい者の方にも役立つのではないでしょうか」と話します。ただ、曲面だと面積がひずみ、情報が不正確になります。その課題に挑んでいるのが山口淳史さんです。「ライン上にドットを配置するストリームドットの仕組みを考えています。地球儀の経線のように球体にも印刷することができ、ラインをなぞるだけで、さまざまな情報にアクセスできるようになります」と語り、世界初の技術として特許申請中だといいます。

宮川瑞穂さんは「裸眼で立体画像が見られるフォトフレームを開発しています。タッチパネル化やスライドショーのプログラムを開発するなど、イノベーションにチャレンジし、世の中にないものを作り出していることが大きな喜びです」といいます。その立体画像を作る研究をしているのが西方淳一さんで、「裸眼立体視のためには、多視点の画像が必要です。そこで、2視点の画像から自動的に6視点の画像に変換するソフトウェアを開発していますが、奥行き情報の処理が大変です」と話します。

3D カメラでとらえた現実の人間の動きを、コンピューターのバーチャル空間に奥行き情報も含めてリアルタイムに再現

3D カメラでとらえた現実の人間の動きを、コンピューターのバーチャル空間に奥行き情報も含めてリアルタイムに再現

ゼミでは毎週1回、全員が1週間分の研究成果を発表、議事録がつくられます。黒沢賢昭さんは「個々の研究の進捗状況がはっきり分かる議事録の存在は、いい意味でプレッシャーになっています。3Dカメラを使って、現実の人間の動きをリアルタイムでコンピューター上の3D空間に取り込む新しいインターフェースの研究を行っていますが、次から次にあふれ出てくる吉田先生のアイデアにはいつも圧倒されています」と話しています。

(雑誌「法政」2009年10月号より)