ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

アメリカ外交や国際政治という素材を使って自分の立場を俯瞰し物事を構造的にとらえる視点を養う(法学部 森聡准教授ゼミナール)

  • 2009年09月20日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

冷戦期の武力介入を題材に米国の政治と外交を研究

森准教授と1期・2期のゼミ生たち

森准教授と1期・2期のゼミ生たち

国際政治学科・森聡准教授のゼミは、昨年春の准教授着任とともにスタートしたばかり。1期生(3年)12人と2期生(2年)9人が「アメリカの政治と外交」というテーマに取り組んでいます。2・3年生合同のゼミでは、1年目は「冷戦期のアメリカの対外武力介入」を題材に国際政治の基礎知識を身に付けながら事例分析の訓練を積み、その上で、2年目に各自がテーマを選んで研究・発表を行い、自身の研究テーマに関連する研究書の書評を書きます。

森准教授は元外交官。5年半あまりの外務省勤務の後、東京大学大学院などで研究生活を送っていました。「これだけキャリアがあるのに、なぜ大学の教員になったのか疑問だった」というのは3年のゼミ長・横田宏大さん。「入ゼミの面接で先生に理由を尋ねると、お茶の間のレベルで国際政治を複眼的に語れる人を一人でも多く育てたいと思ってこの道を選んだ、と話してくださいました。信念を持って自分のキャリアを変えた先生に引かれて森ゼミを選びました」と横田さん。「すごい経歴なのでガチガチの方かと思っていたら、全然そうではなく接しやすい先生」(3年・黒田枝里香さん)というように、ゼミ生のほとんどは面接で准教授の人柄に引かれて森ゼミを選んだといいます。

しかし、「オン・オフの区別はきっちりしていて、ゼミではみんな本気で集中して研究に取り組みます。発表では、それを論理的に言うとどうなるか、構造的に言えばどうなるか、と森先生に厳しい質問を浴びせられます」と話すのは2年のゼミ長・神山哲史さん。厳しいゼミ活動には、「国際政治という素材を使って、自分の置かれている立場を俯瞰できる視点、特に物事を構造的にとらえる視点を養ってほしい。これは社会に出てからも必ず活きるから」(森准教授)という狙いがあるのです。

「新しい知識や考え方を学ぶことで、今までの自分になかった視点で国際問題や事件を見ることができるようになった」というのは3年の副ゼミ長・大坪翔太さん。「ゼミを通して理論的に物事をとらえられるようになってきた」(2年の副ゼミ長・與那覇ゆりなさん)というような声は多くのゼミ生から聞かれました。また、2年の副ゼミ長・花岡健人さんは、「一番よかったのは好きな勉強が見つかったこと。新聞の国際面を見て自分から勉強しようと思うようになってきた」といいます。

森ゼミのもう一つの狙いは、社会人としての常識を身に付けること。そのためにゼミ運営自体も勉強の材料となります。「森ゼミ出身者はひと味違うね、と言われるのが僕の本望です」と森准教授は話していました。

(雑誌「法政」2009年9月号より)