ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

スポーツ健康学 事始め(スポーツ健康学部 山本浩研究室)

  • 2009年07月20日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2009.07.20
討議しながら理解を深める

教室は学生たちの好奇心と熱気で満ちていました。7月初めの「基礎演習」で行われたのはディベート。意見の異なるグループに分かれ、相手を論破すべく策を練り、議論を通じ深く学ぶという学習手法です。今年4月に入学したばかりの学生の大多数にとって初めての体験でした。

テーマは、「FINA(国際水泳連盟)は競泳・背泳ぎの入江陵介選手の世界記録を公認すべきか否か」。7月開催の世界水泳を前にFINAの判断は下されたものの、ここ数年の企業による激しい水着開発競争を端緒とする問題です。FINAによる公認手順や、運動能力とウエアの相関性など、課題や内包する矛盾は、スポーツの本質や、今後の在り方にもかかわるものであり、授業では継続してウォッチしていきます。

山本教授が用意した直近の新聞・放送関連記事に目を通してから、学生たちは「公認すべきではない」「公認すべき」そして、「審判役」の3グループに分かれ、思いつくまま討論。山本教授担当のH組とI組がそれぞれ別に行いましたが、複雑な問題だけに、学生たちは迷いながらも協力して、真剣に取り組んでいました。

山本教授はNHK出身。スポーツアナウンサーや解説委員を務めていました。特に“サッカー実況のカリスマ”と呼ばれワールドカップなどでの名アナウンスは私たちの記憶に焼きついています。ディベート後の総括でも、インタビューした水泳選手から聞いた着心地、水着開発を巡る裏話などジャーナリストの経験を生かした切り口を提示。学生のさらなる考察を求めました。「学生たちは個性的で優れた力を秘めています。なにより、スポーツに関心が深い。学生という蕾(つぼみ)を大きな花に咲かせたい」と教職への熱き抱負を話します。

  • 熱のこもった山本教授の指導
  • ディベートで作戦会議

スポーツへの興味が学ぶ意欲に

仲よくバーベキュー

仲よくバーベキュー

今年4月に開設されたスポーツ健康学部は、スポーツの振興と個人の健康づくりに貢献できる人材を育成することを目指し、多彩なカリキュラムで学生の意欲を高めています。このうち少人数クラスで行う「基礎演習」では、一人の教員が年間を通じて担当。情報リテラシーや資料検索法から、文章表現や議論、プレゼンテーション能力の育成など、大学で学ぶうえで欠かせない基礎力を身に付ける初年次教育の場ともなっています。

「学生には刺激を与えながら、その能力を引き出したいと思っています」と山本教授。喋りが得意なアナウンサーは、実はそれ以上に聞き上手。「教え方はまだ手探り」とは言いつつも、巧みなコミュニケーションで学生たちの心をしっかりつかみ、ケーススタディの面白さに引き込みます。

この日、ディベートで審判役を務めた水出幸輝さん(1年)は「基礎演習は一番楽しい授業です。山本先生は博識で優しい。よく質問をするのですが、どんなことにも親身になって答えてくれます」と話します。クラスはみんな、仲が良く、山本教授が話す一流選手や指導者との交流秘話にも興味津々。驚きや笑い声が広がります。

一方、桑嶋皓さん(1年)は「先生の話にはとても説得力があります。次から次へと興味深い話をしてくれるので、考えたりメモしたりするのに困ってしまうほどです」とほほ笑みます。桑嶋さんは将来、スポーツシューズの開発に携わりたいという夢を持っており、日々の勉強にも意欲満々です。

多摩キャンパスは緑豊かな立地です。6月には、H組とI組合同で懇親のバーベキューも行いました。料理が得意な山本教授が大活躍。学生たちは先生の手際のよさに驚き、舌鼓を打ったそうです。