ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

農や食から考える地域づくり(現代福祉学部 図司直也ゼミ)

  • 2009年05月25日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2009.05.25
想像力でカラクリを見抜け

図司准教授ゼミでは『食』や『農』『環境』の視点から、地域づくりを幅広く考えています。2007年に図司先生が本学に着任し、ゼミがスタートしたころは毎回、ゼミ生5人と先生の研究室でアットホームにゼミ授業を行っていましたが、3年目の今年は2~4年生合わせて30人以上の大所帯になりました。

毎週の授業は2年生が専門知識を培う文書講読、3~4年生が卒論を意識した各自の研究テーマの報告が中心です。仲間の発表に耳を傾け、疑問を尋ね合い、積極的にディスカッションを繰り返します。「ゼミ生には物事を深くとらえる目を持ってほしいと思っています。最近、農業や食べ物に関する話題が社会を騒がせていますが、想像力を働かせながら背景を読み取り、“カラクリ”を見抜き、読み解いてほしい」と図司先生は強調します。

「豊富な知識を持っている図司先生は、ゼミのディスカッションでも私たちの言葉を巧みに引き出してくれます」と話すゼミ一期生の中嶋裕子さんは、「一歩踏み出す勇気をゼミで学んだ」と笑顔を見せます。論文のテーマに選んだのはフードバンク。関連のNPO法人に、聞き取りのためのアポ取りを入れる際にはとても緊張したそうですが、自ら動き学ぶ楽しさを体感し、背景にある福祉と貧困問題をからめた論文作成を進めています。

一方、同じ一期生の大場沙冬美さんは、自らも住む町田市の変質を、福祉の現状や、大学の移転などによる学生などの若年層の流入を背景とした町内会や自治会の加入率や機能の低下などを糸口に考察しています。この日の授業では中間報告を行いましたが、自分の発表に対する、都会や地方育ち、実家暮らしや一人暮らしなど生活実態がそれぞれ異なるゼミ生の意見に耳を傾けて、熱心にメモを取っていました。

  • 仲良く明るく探求心旺盛な図司ゼミ
  • ゼミ授業での活発な意見交換

フィールドワークを通じた実体験と出会い

楽しく有意義だった田植え体験

楽しく有意義だった田植え体験

図司ゼミでは学生たちがフィールドワークなどで積極的に農山村など各地に出かけ、実体験をし、自分ならではのネットワークを広げることを推奨しています。「学生である今だからこそできることは多いはず。とりわけ、社会のさまざまな分野で活躍する多くの“すてきな大人たち”と出会い刺激を受けることで、いろいろなヒントをもらい、個々の選択肢を広げて欲しい」と話す図司先生自身、学生時代に農村交流のインターンに参加したことが、農業経済を専攻し、ひいては研究者となるきっかけだったそうです。

毎年の夏合宿は農山村に出かけます。これまで福島県川俣町と熊本県小国町で実施。今年は長野県栄村で行う予定です。また、今年5月には、ゴールデンウィークを利用して図司先生の知人の埼玉県川島町の農家にお邪魔して田植えの体験をしてきました。2年生を中心にゼミ生14人が参加しましたが、都会で育った学生たちのなかには田んぼの泥に初めて触れる者も多く、特に貴重な体験となりました。9月には稲刈りに赴く予定です。

個人的に活動を行っている学生も少なくありません。1年生だった昨年の夏休みに「地域づくりインターンの会」に参加し山梨県小菅村を訪れた小島知晃さんは、今年は同会の事務局員として活動しています。「実際に行動しなければ分からないことはたくさんあります。現地で知った人の温かみは貴重な財産です」と話します。

鹿児島出身の内徳健史さん(3年)はゼミのテーマに自分の将来を見やっています。「出身地の串木野は農業が盛んな土地柄です。経験豊かな高齢者の知恵やチカラを生かせる農業法人を立ち上げることで、みんながみんなを高められるまちづくりができないかと考えています」と農を通じた地域活性化の夢に目を輝かせています。