ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

応用範囲の広い非線形回路の研究を通じてより快適な生活の実現を図る(工学部情報電気電子工学科 斎藤利通教授研究室)

  • 2009年05月20日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

大学院進学の学生は4年で学会発表が必須!?

左から伊藤良さん、久松晃三さん、斎藤利通教授、中村寛幸さん、小川貴史さん。

左から伊藤良さん、久松晃三さん、斎藤利通教授、中村寛幸さん、小川貴史さん。

斎藤利通教授(理工学部)の研究室は「非線形回路工学研究室」といいます。非線形回路とは、出力値が突然変化するような、入力に比例しない出力が得られる回路のこと。斎藤教授は「非線形回路はさまざまな分野で応用されていますが、この研究室では、信頼性の高い電源供給回路、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換回路、最も効率よくエネルギーや波形を取り出すための最適化回路等に関するテーマに取り組んでいます」といいます。

研究室に所属すると、3年生でまず英語のテキストを輪読。非線形回路の基礎的な知識を身につけていきます。重要な図表や専門用語の理解に特に力を入れると同時に、英語で論文を読み、発表ができる能力も鍛えています。小川貴史さん(4年)は「体の不自由な人たちの介護や生活支援などを工学的に実現する方法として、人間の脳や神経をモデルにしたニューラルネットワークに注目しています。その研究を通して、社会に貢献できるもの作りや活動ができればうれしいですね」と研究への豊富を語ります。同じニューラルネットワークの分野でも、久松晃三さん(修士1年)は「脳のニューロンを電気回路に置き換え、発生する信号を制御することでどのような現象が起きるのかを検証しています」というように、基礎研究の領域で成果を積み重ねています。

研究室の大きな特色は、学生の学会発表に力を入れていることです。進学希望の4年生は全員電子情報通信学会の総合大会で発表しています。伊藤良さん(4年)も「学会発表などで経験を積んでから大学院に進学したいと考えています。非線形の世界にあこがれると同時に、学会に学生を連れていってくれるこの研究室は、僕にとっての“最適解”でした」と研究室の魅力を語ります。

毎年、春と夏に合宿を行い、それまでの研究成果を発表しています。特に夏合宿は、研究室のOBで他大学で教鞭をとっている大学教員の研究室と合同で開催。国際学会に向けての予行演習など、高度な発表内容になることもしばしばです。中村寛幸さん(修士1年)は「他大学の学生は、異なるアプローチや視点から自分の研究を見てくれます。普段のゼミでは出なかったような質問も出て、その後の研究の進展に大きく役立ちました」と、他流試合の成果を評価しています。

研究室の大きな目標について、斎藤教授は次のように語っています。「1人ずつ研究テーマが異なり、大学での研究をずっと続けていくことができる学生は少数ですが、それぞれのテーマを追求するプロセスを通じて、社会に貢献できる人材に成長していってほしいですね」

(雑誌「法政」2009年5月号より)