ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

『クオリティ・オブ・ライフ』と『サスティナビリティ』をキーワードとして環境や地域を考える(人間環境学部 石神隆教授ゼミ)

  • 2008年12月20日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

フィールドスタディを通じて地域づくりを主体的に研究

石神ゼミの集合写真。ゼミ生は4年生7人、3年生10人、2年生7人の計24人

石神ゼミの集合写真。ゼミ生は4年生7人、3年生10人、2年生7人の計24人

石神隆教授の専門は、経済や文化など幅広い視野に立った「地域計画」。研究のキーワードは「クオリティ・オブ・ライフ」と「サスティナビリティ」の2つ。「環境問題を柱として、住民・市民の生活の質を向上し持続させるような地域づくりを研究しています」と石神教授。たとえば、毎年中国の黄土高原に出向き、沙棘さじという多年生潅木による砂漠化防止の調査を進めています。沙棘は乾燥地に強いだけでなく、その果実はジュースやジャムになり、種子や葉は薬効成分をもつなど経済価値も高い植物です。この沙棘を植林することによって、緑の樹木を植えればよしとする従来型の緑化ではなく、地域の住民が経済的にも潤う自発性と持続性のある緑化計画を進めているのです。

こうした石神教授のゼミでは、「クオリティ・オブ・ライフ」と「サスティナビリティ」をテーマに、環境や地域について研究しています。2008年度の研究テーマは「水辺の街のカルチャー」「都市河川のインフラ」「駅のユニバーサルデザイン」「都市型エコ商品ビジネス」の4つ。24人のゼミ生たちが4つのグループに分かれてその実態を調査して、分析結果を発表し、より良いあり方などを提言型の論文としてまとめます。「各専門家や市民の話を正確に理解でき、全体としてまとめ上げることのできる地域プランナーを育てたいですね」(石神教授)。

ゼミ長である川村安弘さん(4年)は「現地調査によるフィールドスタディが石神ゼミの最大の特色。僕は都市河川のインフラのグループですが、さまざまな親水公園、スーパー堤防などを調査し、問題点を洗い出し、その解決法を探っています。こうした研究を通じて、問題発見能力や行動力が身に付いたと考えています」とゼミの魅力を語ります。

「ゼミ合宿で金沢、岐阜高山、長野の飯田・妻籠・馬籠など各地を訪れたことが良い経験となりました。先生の研究テーマである中国の黄土高原にも行きました。先生は現地の住民の方々にすぐ溶け込んで、地域づくりなどについて話し合います。そうした先生の姿から、人と人とのコミュニケーションの方法やその大切さなどを学びました」と話すのは矢野友寛さん(4年)。

左から川村安弘さん、矢野友寛さん、深尾智美さん

左から川村安弘さん、矢野友寛さん、深尾智美さん

深尾智美さん(3年)は「まちづくりに興味があり石神ゼミに入りました。将来は地域に密着したまちづくりに携わっていきたいと考えています。石神ゼミの良いところは、選択肢が多く主体的に行動できること。ゼミでの研究活動を通じて、将来像に向かって一歩一歩前進していることを実感しています」と、目を輝かせています。

(雑誌「法政」2008年12月号より)