ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

ソフトウエアに込める想い(情報科学部 佐々木アラム幸子研究室)

  • 2008年12月08日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2008.12.08
卒業制作としてソフトをプログラミング

佐々木教授研究室では、4年生が卒業論文・卒業制作としてWeb上で活用できる学習支援ソフトを作っています。アイデアを含めた立案からコンテンツ制作、ソフトのデザイン、バグ探しのほか、ソフト制作の論文化、さらには英文での要約作りなど一連の作業を一人で行います。研究室のホームページでは、これまでの卒業生たちが作ってきたソフトを体験することができます。

テーマはさまざまです。内田あさこさんは自らも体験した就職活動にヒントを得て、『一般常識や時事問題』を学習できるソフトを作っています。「Web2.0を意識し、ユーザー同士作り上げていける構成にしました。本などの時事問題はすぐ古くなってしまいますが、ネット上なら常に最新の問題が提供できます。サイト内でニュースも見られるようにしたい」と話します。常に更新できるWebの特性を活かしています。

一方、大田隼也さんは「人に役立つモノを作りたい」と『手話学習ソフト』作成に取り組んでいます。代表的な動詞、名詞などをクリックすると、対応した手話画像が見られる仕組みです。4択のクイズ型式も取り入れ、遊び心をくすぐります。放送研究会の部長として活動していただけに、画像・映像処理はお手の物。「せっかくですから自分で手話を行って覚えたい」と自らモデルとなって撮影し、コンテンツとして利用する予定です。

ネット社会はボーダレス。その共通語はやはり英語です。機械翻訳の研究もしている佐々木教授は、かつて米国の大学で教えていたこともあり、学生にも特に英語を推奨しています。「(日本語だけでなく)英語も使用して世界中の人が楽しめるソフトを作ってもらいたい」と本音も覗かせます。

  • 発表に対して先生を中心にコメント
  • 秋学期には2週に1度行う個々の研究の中間発表

自分の力で解決策を考える

研究室の卒業生制作の教育支援ソフト

研究室の卒業生制作の教育支援ソフト

学生たちが選んだテーマには、それぞれの嗜好が表れています。また、先輩たちが作成してきたソフトを改良し、新たな機能を盛り込むことに意義を感じる学生もいます。そしてソフト制作はある意味、孤独な作業。自宅のパソコンで進める学生も少なくありません。それだけに2週に1度の頻度で実施しているゼミでは、進捗状況の報告や相互批評などを行い、アイデアや構成をブラッシュアップしています。

美術好きの河野みなみさんが作成しているのは『美術鑑賞支援ソフト』。絵や彫刻作品と解説を組み合わせ、「一般ユーザーに美術の楽しさを感じてもらう」のが狙いです。「著作権があるので、扱える作品はミケランジェロやダヴィンチをはじめ約60年くらい以上昔の作品に限られてしまうのですが…」と残念がりますが、設備など整った学部環境で、楽しみながら開発しています。

理論派の小松田祥平さんは、初心者向けのプログラミングの学習を支援するソフトを作ろうと頭をひねっています。「変数や、if文を理解してもらい、画像や簡単なゲームを作れるぐらいまでの最低限のプログラミング知識を盛り込みたい」。4月から構想を考え、夏休み頃から、ソフト構築に本格的に向き合っています。「何もないところからアイディアを練りながらソフトを作るのが楽しい」とモノづくりの醍醐味に夢中です。

「ソフト作りには時に予想もしないことが起こります。そんな状況に陥ったとき、自らの力で解決策を考えることは、学生たちの実力を育みます。時に、短期間での成長ぶりに驚かされることもあるほど」と佐々木教授。学生からは優しくて、ほめ上手と慕われている先生は、学生が苦労して作り上げる“達成感”を糧に、先人たちが思いつかなかったソフトの機能やデザインを生み出してくれることを願っています。