ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

国際金融を解読する(経営学部 横内正雄ゼミ)

  • 2008年10月13日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2008.10.13
外国為替を理解し、国際金融の諸問題を考える

横内教授ゼミで学んでいるのは国際金融です。昨今のサブプライム問題で、世界経済が大混乱を引き起こしていることから分かるように、金融におけるグロール化は劇的に進んでいます。そんな国際金融の理論や国際金融市場の機構を理解するため学生に必要なことは、「まず論理的に筋道を立てて考えること」と横内教授は強調します。複雑にからみあうメカニズムは難解ですが「ひとつずつ、点と点を結び付けるように」理解していけばよいのです。

ゼミでは、英語で書かれた専門テキストを用い、担当者がレジュメを発表した後、討論という形を取ります。例えば、夏合宿では、テキストにあるケースを取り上げて『為替相場の変動と企業活動について』というテーマで、その“影響”や“収益”などについて『企業の財務担当者に対して何をアドバイスしたらいいのか』、熱くディスカッションしました。

この日の授業のテーマも外国為替。貿易のケーススタディを取り上げましたが、横内教授は、海外旅行のエピソード、円高で苦しんでいた企業を訪問した時の出来事や歴史的逸話などの話を交え、直接相場提示と間接相場提示(例えば1ドル=105円、1円=0.0095ドル)の表記の違いなど混同しやすい事柄を、ゼミ生たちの興味を引きながら分かりやすく概説していました。テキストに応じた横内教授特製の英語用語集も学生の理解に役立っています。

本学独自のスタディ・アブロードという留学制度で、2年次にネバダ州立大学リノ校に短期留学していた信清友美さん(3年)は「現地で学び生活した体験がゼミで学ぶ国際金融への関心につながっています」と話します。一方、証券会社に就職が内定している高塚歩さん(4年)も「就職してからもゼミで学んできた金融のことを、ずっと勉強し、自分を高めていきたいと思っています」と意欲たっぷりです。

  • 合宿は年に2回実施します。春合宿で記念撮影
  • 意見が飛び交う活発なゼミ授業

現実を見つめた探求心が成長を導く

7月には東京証券取引市場を見学

7月には東京証券取引市場を見学

明るく活発で、何事にも和気あいあいと議論を弾ませるゼミには、個性的なメンバーがそろっています。横内教授はそんなゼミ生の自主性を優しく見守り、助言しつつ専門分野への深い興味を誘います。例えば榊田敏仁さん(3年)はムードメーカーのゼミ長です。郵政民営化が自分の研究テーマで「卒論に向けて、ドイツの事例や国際金融の観点からも継続的に考察を進めています」と話します。

小椋厚さん(2年)は公認会計士を志望し、試験に向けた勉強を日々、積んでいます。あえて国際金融のゼミを選んだ理由を「英語で国際金融を学ぶことは将来のビジネスで必ず役に立つ」と多分野の知識習得に積極的です。一方、中国からの留学生である方 暁さん(4年)は来年度大学院へ進学します。「日本でしっかりと金融知識を学び、いずれは中国の経済発展のためにかかわりたい」と夢を語ります。

ゼミではテキスト講読のほかに、毎月1冊の文献を講読し、感想を話し合います。国際経済を扱う本のみならず、カカオ豆の原産国の子供たちがチョコレートを口にできない現実など、貧富や格差を伝える本もあります。また、年に数回、学外の施設見学なども行います。7月には、東京証券取引市場に足を運びました。常に速さを伴う金融の現場を見て、学生たちは意識を新たにしました。

「国際金融問題をより深く理解するには、理論のみならず歴史や制度、政策を理解し、その上で現実を見つめることが大切です」と横内教授。感受性豊かな学生にとって、問題や矛盾に自ら気付き、考えることが学びの動機になっていきます。その探究心こそが成長を導くのです。