ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

福祉国家とグローバリゼーション(経済学部 原伸子ゼミ)

  • 2008年08月25日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2008.08.25
資本主義を理論的、歴史的に分析する

原教授ゼミでは「福祉国家とグローバリゼーション」という大テーマの下、家族・企業・労働市場の諸変化を経済的に考察しています。目指しているのは現状分析にもとづいた現代資本主義の理論的、歴史的な分析です。

前期には企業社会について考えるため『誰のための会社にするか』(ロナルド・ドーア)を文献講読しました。国際化の洗礼を受け、この10年で劇的に変化した日本企業の経営や労働者を巡る環境、企業像そして日本社会の行方を論じたテキストです。改革派、格差社会、株主パワー、ステーク・ホルダー企業…、テキストにはさまざまな経済・時事用語が並びます。実はそれらは決して学生生活から遠く離れた事象ではありません。家族のメンバーが働く企業や、学生自らがアルバイトをする外食店舗も経済社会の一部。そこで現実に進行しつつあり、向かい合っている事柄なのです。4年生にとっては、就職活動でさまざまな現実にも直面、そのなかで選択を繰り返してきたことでしょう。

秋田将臣さん(4年)は製薬会社に内定を得ています。「モノを作っている会社を中心に回り、MR(医療情報担当)という専門職への興味が決め手となりました」。ゼミでは学びに、遊びにリーダーシップをとり後輩たちの積極さを引き出す優しい兄貴分です。一方、3年生もそろそろ就職を意識する時期です。「サークルで就活対策を始め、企業のプレインターンプログラムにも申し込みました」と話すのは鎌田明紘さん(3年)。「原ゼミで学んだことを生かし、自分や共に働く仲間の意識を高められる仕事をしたい」と常に前向きです。

「後期は制度としての年金を改めて考えてみたい」と原教授。今日本でも大きな社会的問題となっている年金問題を、福祉国家の可能性を探る意味も含め、スウェーデンの事例を考察したテキストで学ぶ予定です。

  • コミュニケーション抜群の原ゼミ
  • 優しい原教授を中心に活発な討論が弾みます

経済を学んで気付くこと

懇親のボウリングで記念写真

懇親のボウリングで記念写真

「社会は人間中心であるべき。いわゆる『合理的』社会であっても、それを作っているのは人間なのですから」と原教授は語気に力を込めます。さまざまな社会変容が叫ばれる中、ゼミ生には常にグローバルな視点で日本経済をみつめ、経済と生活のかかわりを考え、経済を歴史的にとらえる視点を有してほしいと願っています。とりわけ、歴史的に見ても変化の激しい現代において大切なことなのだと強調します。

「経済を学べば学ぶほど、世界や社会のすべてがつながっていることを意識します」と話すのは石川英幸さん(3年)。「ゼミでは時事問題を多く扱いますし、知識豊富な先生の解説は本当にためになります。今後の課題は学生同士の議論をもっと盛り上げていくことですね」と積極的です。

そんなゼミは、和気あいあいとした雰囲気で、上級生と下級生のコミュニケーションも抜群。今年は似顔絵入りのゼミ名簿も作りました。毎週のゼミ授業後は、有志が集まってボウリングやコンパに連れ立って出かけたりもします。取材にお邪魔した7月中旬の前期最後の授業には、就職活動が一区切りした4年生も多く参加、9月に実施する夏合宿の準備や夏休みの課題について話が盛り上がりました。

「学校にくる理由のひとつはゼミがあるから」と笑顔をみせるのは吉田絵美さん(4年)。「大学生活の楽しみですし、ゼミで培った人間関係は自慢ですね」。4年生にとって、後期は最低2万字の卒業論文作成という、学生生活のひとつの仕上げが控えています。皆、思い思いのテーマで計画していますが、吉田さんは「ディズニーランドの経営方針」を考察することに決めています。