ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

学生が主体となって現地調査を毎年実施。各地の環境問題に対する実証的な分析をめざす(経済学部 西澤栄一郎教授ゼミ)

  • 2008年07月20日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

フィールドワークを通して環境問題の実態を調査

前列左から、三橋愛子さん(4年・前ゼミ長)、西澤栄一郎教授、栗田翔子さん(4年)、後列左から、袰岩裕介さん(3年)、 梅本明聡さん(3年・現ゼミ長)

前列左から、三橋愛子さん(4年・前ゼミ長)、西澤栄一郎教授、栗田翔子さん(4年)、後列左から、袰岩裕介さん(3年)、 梅本明聡さん(3年・現ゼミ長)

環境に関わるテーマで現地調査を行い、その結果を学内外で発信する―そんなフィールドワークを主体とする活動を続けているのが西澤研究室です。現地調査は3年生を中心にして2年生と合同で主に夏休みに実施。4年生は自分の卒論に取り組みながら助言者として支えます。

調査テーマや調査地域は学生たちが話し合いで決めます。「私がテーマを提案することもありますが、今まで一度も採用されたことはありません(笑)。私の役割はスケジュール通りに調査や発表ができるように、工程管理を行うことくらいです」と西澤栄一郎教授が話すように、フィールドワークは完全に学生主導で行われています。

去年は、ラムサール条約に登録されている釧路湿原の自然再生事業をテーマとして取り上げました。その2年前の調査で不十分だった部分を補って、完成度を高めるためです。意識調査のためにアンケートを行い、その結果を踏まえた上で、現地で行政などへのヒアリング調査や一般住民に対する聞き取り調査を行いました。当時のゼミ長として調査を率いた三橋愛子さんは「環境への意識はあっても、なかなか具体的な行動に結びつかないことが明らかになり、環境問題の難しさを実感できました」といいます。

フィールドワークの結果は、毎年、百数十ページにものぼる報告書としてまとめられている。約1年間のゼミ活動のすべての結晶が、ここに詰まっている。

フィールドワークの結果は、毎年、百数十ページにものぼる報告書としてまとめられている。約1年間のゼミ活動のすべての結晶が、ここに詰まっている。

今年は、飯田市のワーキングホリデーについて調査を行う予定です。農業を体験したい人が農繁期に無償で農作業を手伝う代わりに、農家が食事と宿を提供する制度で、現ゼミ長の梅本明聡さんは「この新しい援農制度の実態を探り、農業問題や地域の活性化などとの関係を明らかにしたいですね」と抱負を述べています。袰岩ほろいわ裕介さんも「単なる調査者としてだけでなく、実際に農作業にも参加して、参加者としての視点も盛り込んだ報告書にしたいと思います」と意気込みを語っています。

フィールドワークが終わると、10月には環境をテーマに掲げた経済学部の5つのゼミによる「環境5ゼミ討論会」、12月には成城大学とのインターゼミで成果を発表します。栗田翔子さんは「フィールドワークを通して現場にかかわったことで、環境問題における行政の役割の大きさを痛感しました。卒業後は公務員を目指し、行政の立場から環境問題にかかわりたいと思います」と話しています。

このように学生の進路にも大きな影響を与えるフィールドワーク。西澤教授はさらにパワーアップを図っていくつもりです。「調査結果を、訪れた地域に役立ててもらえるようなものにしていくことが今後の課題ですし、調査結果をもっと広く発信する方策も考えていきたいです」。

(雑誌「法政」2008年7・8月号より)