ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

ドラマ(社会学部 藤田真文ゼミ)

  • 2008年06月30日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

2008.06.30
テキスト論によるメディアの分析

藤田教授ゼミのテーマはマス・メディアの内容分析。特にテキスト論によるテレビドラマの分析に大きなウエイトを置いています。2年次に入ゼミし、ドラマに関する基礎知識と実技、そしてメディア考察など段階的に学んでいく中で時間をかけているのが文献講読。地味ながら学問としてのドラマ分析に欠かせないものだからです。

3年生のこの日の授業では、ウェブ進化について文献講読を実施しました。インターネットが社会やメディアに与えている影響を考えるのが目的です。Web2.0、クロスメディア、アフィリエイト、総表現社会の到来・・・、多くの用語が飛び交いました。ネット世代のゼミ生たちでも、きちんと理解していないことや利用経験のないウェブサービスは少なくありません。藤田教授や発表者を中心に、身近なことも例にして討議は進みました。

ウェブ進化によりマス・メディアも変質を余儀なくされていますが、一方で藤田教授が「ドラマを例にとっても、一昔前にあったような誰もが見ている作品が少なくなった」と話すように、個人の嗜好も多様化しています。ただ、嗜好に違いはあれどもゼミ生は皆、無類の“ドラマ好き”。好きであるから夢中で取り組みます。ゼミ長の高橋昴平さんは「ゼミで学んでから、メディアやドラマに対する接し方が変わりました」と話します。漫然と見るのではなく、制作者の意図を含め多面的、批評的に見る目がゼミでは養われます。

「ゼミでは情報の受け手としての感性を磨きながら、同時に送り手の視点を理解して、メディア業界で仕事ができるだけの意識と力をつけることを目指しています」と藤田教授が話すように、多くの先輩が映像制作やアナウンサーなどの道へ進んでいます。また、培ったプロデュース意識やクリエイト能力を生かし、OB・OGはさまざまな分野で広く活躍しています。

  • ゼミ制作のドラマのタイトル
  • メディアについて考察する文献講読

ドラマ制作の次は番組企画書作成

ゼミ制作のドラマの撮影風景

ゼミ制作のドラマの撮影風景

現3年生たちは、2年生だった昨年秋から今年の春休みにかけ、3班に分かれそれぞれドラマ制作を行いました。すべての制作過程を自分たちでこなす藤田ゼミ恒例の取り組みです。「1班6人がプロデューサーや脚本、監督、撮影、編集などそれぞれの担当に責任を持って制作を進めていきました」と海老原雄太さん。

『ココロ、キミへ』『BOX GIRL』『嫌よ射矢よも好きのうち』と題された20分の3作品は、ドラえもんのひみつ道具を、演出の特徴的な小道具にしたもので、くしくもすべてがドラマの王道である恋愛モノでした。直情的であったり、コミカルだったり、ちょっぴりひねったり、ストーリーやカメラワークはそれぞれ異なるものの、若者らしい感性と作り手の熱き思いが込められていました。

ゼミ生たちは裏方である制作に徹するのが原則。出演者は友人、知人に頼みました。学内のみならず、バイト先のファミリーレストランをロケ地にした班もありました。寒風吹きすさぶ路上でのロケ、夕日を撮るための時間待ち、知恵を絞った音響効果・・・、試行錯誤の共同作業は結束をさらに強いものにしました。「夢中になって取り組みました。編集作業で素材が足りなくて苦労もしましたが」と振り返るのは源田莉奈さん。失敗もまた経験です。完成した作品は4月下旬、多摩キャンパス内の上映会で披露され、好評を得ました。

今年後期のゼミ授業で3年生たちは、次なる課題であるテレビ番組の企画書作成に取り組み、藤田教授の知人のキー局プロデューサーにプロの目で精査してもらう予定です。企画書には自分たちでドラマを作った経験、文献講読で培った知識、なにより仲間と作り上げてきたゼミ力がきっと生かされるはずです。