ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

高めあう“こころ”(現代福祉学部 小野純平ゼミ)

  • 2008年02月25日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

心理学の楽しさと奥深さ

小野ゼミでは、心理学(発達心理学、臨床心理学、心身障害学)などを学んでいます。ゼミには2年生から所属、まず半年ほどをかけ専門論文の読み方を身につけます。2年生は後期に入ったところで、学術専門誌などから興味ある分野の論文を選びレジュメにまとめ発表している3年生の授業に合流し、一緒に学びます。

この日、「3歳児における父子と母子の遊びタイプの比較」に関する論文の要約発表を行ったのは近藤恵理子さん(3年)。「大学図書館の論文検索システムを活用し、関心を抱いている分野の論文をセレクトました」と話します。ある研究施設に親子を集めて、自由におもちゃ遊びをしてもらい、その行動観察をした比較調査論文です。近藤さんは「子供の自発性を尊重する」「敏感性」など幾つかの評定値別の父親と母親の類型の組み合わせが、子供に与える影響に特に興味を持ったそうです。

授業は、発表を聞きながら所々で、じっくり討議をしつつ進められます。小野教授は論文に絡め、フロイトの古典的学説から自我心理学、対象関係論などにいたるまで、心理学のさまざまな解釈を幅広く紹介。また宮崎アニメの登場人物を引き合いに出して分かりやすくたとえました。「あえて、いろいろな視点からコメントすることで、ゼミ生それぞれの意欲を喚起したい」と小野教授。奥深い心理学の各分野から、テーマを探して欲しいという思いからです。「先生の授業で心理学の面白さに目覚めた」と話す菊地一真さん(2年)も熱心に質問していました。

勉強熱心でまじめな小野ゼミは結束も抜群。恒例の春・夏の合宿や、ボーリング大会、バーベキューとイベントも盛りだくさんです。イベント担当の宮坂愛子さん(2年)は「みんなの意見を反映し、リーズナブルにまとめることを心がけています」と、多彩なイベントを仕切ります。

  • 2007年の夏合宿で記念撮影(静岡県熱海市)
  • 学生の興味をふくらませる小野ゼミの授業

それぞれの学び、そして社会貢献

卒論の相談で研究室に集まった4年生たち(左から二人目が小野教授)

卒論の相談で研究室に集まった4年生たち(左から二人目が小野教授)

「優しくて穏やかな先生です」と南ゆかりさん(3年)が話すようにゼミ生から慕われる小野教授の研究室には、学生たちがよく相談に訪れます。この日(12月半ば)も、コンピュータ室にこもって、それぞれ卒業論文の仕上げに取り組んでいた4年生たちの姿が見られました。

平尾瑠梨さん(4年)は、約170人の学生から採ったアンケート調査(設問70問)の数値分析を元に卒業論文を作成しました。「親子関係の発達的変化に関する男女間差について考察を試みました。男女で顕著に見られた、母親との分離不安の強弱の違いが特に興味深かった」と話します。論文作成だけでなく、アンケート調査のデータ数値の綿密な加工や、分析法を学んだことも大きな糧になっています。

学問的なことのみならず、小野教授はよく、「何にでもこだわれ。妥協せずに、目標や夢を常に追求しなさい」と諭します。学び生きていくうえで何か“軸”を持っていれば迷わずに苦労を越えていけるという思いであり、『人の援助をしたい』と強く願い、現代福祉学部に入学し日々学んでいる学生へのエールです。

卒業生の進路は、一般企業や公務員、大学院への進学などさまざま。鈴木洋平さん(4年)はJALパイロットという個性的な進路を選びました。「学部のフランスやオランダへの海外福祉研修や、個人的な数々の海外体験で国際的な関心が膨らみました。人間力を高められる仕事と感じ、志望しました」。直接的な福祉現場のみならず、幅広いフィールドで卒業生たちは、他人を思いやり、高めあう“こころ”を生かして社会に貢献していきます。