ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

情報で生きる(情報科学部 溝口徹夫研究室)

  • 2007年11月05日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

脳みそに汗をかけ!!

「ハードであれソフトであれ、モノを作る中で課題は見えやすくなる」と溝口教授。メーカーでのハードやデータベース管理ソフト、アプリケーションソフトの開発、そして教育者としてコンピュータに40年以上携わってきた先駆者としての持論です。学生には積極的にソフトを作るなどの具体化、情報やアイデアをきちんと形にすることを求めます。「脳みそに汗をかけ!」と溝口教授は時に、学生を叱咤激励します。

日々進歩するIT技術ですが、情報科学部では、4年間で基礎から実践までの知識・技術を習得できるカリキュラムを構築しています。その仕上げとなるのが、研究室でまとめる卒業論文です。少人数教育指導も特徴で、現在、溝口研究室では10人が学んでいます。

卒業論文の作成は、各人の作業になるため、ゼミの授業時間ではそのヒントとなり、情報を職業とするにあたり学生たちに深く知ってほしいと溝口教授が考えている外書講読などを行っています。前期はデータベースやインターネットに関する英語論文などをテキストにしました。この日の授業では情報監視社会(Surveillance Society)に関した英語文献を取り上げました。電子情報システムが発達した社会生活における時間と空間の意味の変化、それに伴う個人情報の収集や、監視の広がり、ポリティクスなどを記した評論書です。

英文和訳を担当した桑原光義さんの卒業論文のテーマは『Web APIを使ったWebアプリケーション』。「個人の履歴をもとに、使いやすい検索システムのアイデアを構想しています」と話します。情報技術の急速な発展は、社会を変容させつつ、飛躍的に進化させています。その背景まで考察しつつ、個々のテーマを見つけた学生たちは、多角的な学びで、情報に対する理解を深めています。

  • 少人数で学びを深めます
  • 英語文献を取り上げた授業の様子

それぞれのテーマ

研究するにあたり、最も重要なことは「研究テーマを決める」ことだと溝口教授。溝口研究室では、学生のテーマを教授の専門分野に限ってはいません。「ソフトを作るのには時間がかかり、卒論で完成できないかもしれません。ただ貴重な学生時代の研究として、自分でテーマを探し、掘り起こして欲しい。いわゆる良いテーマに出会えることは偶然であり、幸せなのかもしれない、結果よりもその過程が大切なのだから」。優しい人柄と、ていねいな教え方が定評の溝口教授。学生たちはテーマを追求し、課題を見つけ研究室を自発的に訪ねます。

学生の卒論のテーマは、就職が内定している企業の業務に近い内容、若者らしい着眼点が生かされたものなど多彩です。足立美奈子さんのテーマは『GIS 地理情報システムを用いたマーケット分析』。「ファストフード店などを対象にした分析が目的です」と話します。また、ゼミ長の森川隆さんは「飲食店の出店許認可などの行政システムをパターン化し効率性を高める」という具体的なテーマで研究を進めています。二人とも、メーカーの開発部門に就職が内定しています。

夏には、工学部の研究室と合同で合宿を実施。「ウィキペデイアの更新システム」などについても討議しました。交流し刺激しあってこそ、ユニークなテーマを追求できるのだといいます。企業の第一線でのソフト開発なども実は分業作業が中心。理系の情報技術者だからこそ大切なコミュニケーション力や、共同で論理的に考える力も育てていきたいというのが、溝口教授の願いです。