ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

『あなたにとって人権とは?』(法学部 建石真公子ゼミ)

  • 2007年10月04日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

身近な「法」を考える

憲法・フランス憲法・国際人権法を専門とする建石教授のゼミ(4年17人、3年9人)では現代社会における人権保障を幅広く学んでいます。一言で『人権』といっても、その範疇は幅広いものです。しかし、日々の暮らしやニュースなどに注意深く目をこらせば、皆さんも“法の存在の近さ”に気づくでしょう。社会、そしてもっと身近な家族という枠組みを語るにも『法』は欠かせない要素です。

建石教授はまず優しくゼミ生たちに尋ねます。「あなたにとって人権とは?」。そしてその問題意識を、実際に現場や当事者から知る努力をした上で、「ゼミで存分に追及してほしい」と期待します。理知的で情熱を秘めた先生を、高橋さん(4年)は「フレンドリーで、学生目線まで下りてきて相談に乗ってくれます。国際的な活動をされているのも魅力」と話します。

フランスを中心にヨーロッパの人権保障に詳しい建石教授は、(財)東海ジェンダー研究所で「身体、性、ジェンダー」などの研究プロジェクトにも携わっています。国内外を問わず、性別や国籍などの条件にかかわらず、すべての人々が差別や偏見のない環境で尊厳を持って生きることのできる社会をつくるための、法的な基盤整備を強く説いています。

ゼミでは毎年数回、海外研究者を招き講演会を行っています。6月には韓国・ソウル大の南孝淳教授が「韓国における家族概念―『健康家族基本法』に関して―」というテーマで講演。9月末には、建石教授の20年来の知己であるフランスのポール・セザンヌ(Paul Cezanne)大学のティリー・ルヌー(Thierry Renoux)教授(憲法学)に「ヨーロッパにおける<基本権>論」というテーマで、人権保障の歴史や、近年のフランスにおける「基本権」概念の登場、EU憲法条約と各国国内法の関係、裁判的保障などについてお話しいただきました。

「日本の憲法などと比較しながら拝聴しました」と畠山さん(3年)。一般参加者なども交えて行われた講演会は確実にゼミ生たちの知的好奇心を喚起したようです。

  • 活発なディスカッションが行われるゼミ授業
  • ルヌー教授による講演会の様子

楽しい = 建石ゼミ

春合宿で記念撮影

春合宿で記念撮影

1~2年次に学部授業で憲法を学んできている学生たち。ゼミでは憲法や人権の幅広いフィールドの中から、個々が興味を抱いた分野を改めて掘り起こしながら判例や事例を調べ、考える作業が中心となります。

前期は、「婚外子に対する相続差別」、「精神的自由・思想・良心の自由」や「公務員の権利」(政治活動の自由の制限など)について、個人やグループで研究発表、ディスカッションしました。「憲法、人権に興味があり、建石ゼミを選んだ」という小沢(翔)さん(3年)は、憲法第9条の改正案や、自衛隊海外派遣などについてレポート発表。諸事情についての建石教授の補足説明が強く印象に残っていると話します。

ゼミ生たちは、夏季休暇中などにも集まってテーマ研究を進め、グループ、個人で探求した論文を学内の「懸賞論文」に応募しました。「代理母」「外国人の人権」「性同一性障害」「尊厳死」など、ゼミ生たちが、今を生きる若者たちの視点で冷静に人権を考えたものとなっています。

ゼミでは年数回、合宿を行います。今年は5月に三浦で、8月に伊豆高原で合宿しました。合宿も討議が中心。春合宿では、「国歌斉唱義務不存在確認訴訟」「同性愛者の結婚」などについて、「『肯定』『否定』『中立』の3班に分かれディベートしました」と小澤(美)さん(3年)。授業のみならずサブゼミなども活発に行う、個性と意欲豊かなゼミ生たちをまとめるゼミ長の海老塚さん(3年)は「楽しい=建石ゼミ」と胸を張ります。

大学院進学やロースクール、一般企業や公務員、教員など幅広い進路を歩んでいる卒業生は、それぞれのフィールドで、ゼミで培った「法」や人権に関する知識や意識を生かしています。