多摩ニュータウンの商店街の七夕イベントをサポート
保井ゼミ(2~4年、37人)では「自治によるまちづくり」をテーマに広くフィールドワークを行っています。
今年6月29日~7月8日にかけては多摩市の多摩ニュータウンの近隣センターである諏訪名店街の七夕イベントを全面的に企画、サポートしました。諏訪地区は多摩ニュータウンの中でも最も早い時期に開発され入居が始まった地区。環境変化や住民層の変化などの諸事情により空き店舗も目立ち、昨年は恒例の七夕イベントも中止となっていました。
保井准教授の知人の地元住民であるコンサルタントの方を仲立ちに、昨年度、2年生(現3年生)が中心となって商店主などにアンケートを実施。その結果を踏まえ、今年2月に「空き店舗の有効活用や、建替えの現実性などを含め名店街に提案しました」と野々村直登さん(3年)。すぐに実行とはいきませんでしたが、ゼミ生の熱意が伝わり、ゼミへのサポート依頼につながりました。七夕イベントは、本学サークルや近隣大学や地域の児童館にも参加いただき、地域の資源をフルに活用した理想の形で行えました。
このほか、ゼミでは昨年度、隣接の永山地区で団塊世代を対象に聞き取り調査を実施。「定年退職した後も、働きたいと考える人が多いのに驚きました」と井関祐子さん(3年)。「調査結果をもとにアクティブシニアを生かす地域交流を、大学キャンパスを使って行えないかと考えています」と高田悠紀さん(3年)が話すように構想は広がります。
この冬には、地域と大学が連携し、永山・諏訪地区などで、クリスマスイベントを計画しています。建物を所有する都市再生機構や、市役所、NPO、地域の専門家と連携し、保井ゼミでは地域活性化のための調査・活動を続けていきます。
活動的で結束力抜群の保井ゼミ。前列右端が保井准教授
まだ4年目の保井ゼミですが、特徴的な多くの活動を行っています。2005年には岩手県の軽米町を訪問。ゼミ生たちが秋祭りで山車の引き手を担いました。静かな町に突然都会からお邪魔したわけですが、田中千寿子さん(4年)は「町の方々は本当に優しく迎えてくださいました」と振り返ります。「学生の参加がインパクトとなって、祭りは例年以上の盛り上がりを見せました」と保井准教授も話します。
さらに、「学生なりの地域活性案を町に提案。昨年も有志が町を訪れ交流を深めました」と津曲智貴さん(4年)。若者、他所者であるがゆえの着眼点やアイデアは、地元の方による地元の良さの再発見につながり、地域コミュニティ施設の改修などにも結びつきました。
一方で、学生たちは連携し、溶け込む苦労も体験しています。諏訪名店街にしても、軽米町にしても、いきなり分かり合えるわけではありません。胸襟を開いて話し合い、作業をともにする。若者の純真さや、ふとしたことが閉ざされた心を開き、コミュニケーションを高めます。バックグラウンドや年齢の異なる他者との交流は、「地域づくりに興味があり、保井ゼミを選んだ」(2年、大津光時さん)、「不安もあったが実際に訪問して多くのことを学びました」(2年、遊佐知子さん)と精力的に活動する学生の貴重な糧となっています。
保井准教授の専門は都市政策や都市計画ですが、「都市という空間作りだけでなく、コミュニティの媒体となる人材を育てていきたい」と話します。毎週のゼミも学年を超えて合同で行うことが多く、イベントには2?4年生、時にはゼミOBの大学院生まで参加します。折に触れ、保井准教授宅でゼミ生を集めパーティを開くなど結束力は抜群です。
保井美樹准教授・プロフィール
保井美樹(やすい・みき)准教授
早稲田大学政治経済学部政治学科、ニューヨーク大学公共行政大学院都市計画専攻修了、工学博士(東京大学)。Institute of Public Administration、(財)東京市政調査会、東京大学先端科学技術研究センター等を経て、04年4月本学現代福祉学部専任講師。06年同助(准)教授に着任。