ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

現在進行形(法学部 萩谷順ゼミ)

  • 2007年02月21日
ゼミ・研究室紹介(2019年度以前)

疑問は調べ、質問してみる

「学生には今、起きていることに興味と関心を持ち、解決を考えてもらいたい」と萩谷教授。

前期は世界を地域という観点から考察。後期は「国連」「テロリズム」「安全保障」「人権」「環境」「資源」の各グループに分かれ、それぞれの分野から担当者が興味を持った事象をまとめプレゼンテーションし、質疑応答するというスタイルで授業を行っています。事象をまとめるだけでなく、その解決法にも言及するのが特徴です。

この日は国連班が『国際刑事裁判所』と『国連親善大使』について、テロリズム班が、11月21日に起こったレバノンのジュマイエル産業相の暗殺を糸口に背景を分析しました。

各グループのレポートは「ユニークな着眼点をはじめ、かなりいいレベルまで突っ込んだものも多い」と萩谷教授。時には、先生が知己である専門家に尋ねても明確な答えの出せない事象もあるといいます。
複雑な現代社会における、現代進行形の問題だからこそなのでしょう。そのプレゼンに対し、萩谷教授がジャーナリストとしての体験談や豊富な知識など、さまざまな“引き出し”を駆使してコメントし、ゼミ生の興味をふくらませます。

「日本の高校までの教育で、おろそかにされているのは質問すること。私の役目は『試してごらん』と背中を押してあげること」と萩谷教授。
興味を抱き、調べて、疑問を持ったことは臆せず誰にでも聞いてみる。そのトレーニングがゼミ授業なのです。ゼミ生たちも現在進行形で成長しています。

  • 熱心なプレゼンテーションの様子
  • 個性豊かなゼミ生が集まる萩谷ゼミ

Free Talk…萩谷ゼミ

アウシュビッツを歩くゼミ有志一行

アウシュビッツを歩くゼミ有志一行

9月のゼミ合宿ではプレゼンテーションコンテストを実施。テレビのニュースショー仕立ての凝ったものもあり、萩谷教授を驚かし、ゼミ生を沸かせました。

班別のプレゼンのほか、ゼミでは第2次世界大戦中、ホロコーストを連合国に初めて知らせたポーランド人、ヤン・カルスキの活動を記した文献(英語)の講読を行っています。

11月にはゼミの有志6人がポーランド視察旅行を敢行、アウシュビッツ収容所などを見学してきました。観光地化していることに戸惑いながらも、辺りを漂う鼻をつく灰の臭いに惨劇の歴史を感じ取ったのだといいます。
また、一行が現地で雇ったガイドの知人が、カルスキの孫と結婚していたという“小説”のような話も持ち帰ってきました。文献で読んだ文字と人物が身近な“現実”となった貴重な体験でした。
一行はゼミで旅行の体験を報告。他のゼミ員からも、積極的な質問がなされ、知識や体験を共有化しました。

「学生はそれぞれ素晴らしい個性を持っています。ゼミという場で議論し、さまざまな経験を積むことで、さらにお互いの長所を引き出しあってくれています」と萩谷教授。
ゼミ長を務める伊藤隆史くん(3年)も「理解のある先生の下で、ゼミ生が自由にテーマを決めて活動しています」と話します。
先生とゼミ生が頻繁に携帯メールで連絡を取っているという萩谷ゼミ。明るく笑い声の絶えないコミュニケーションの良さと、萩谷教授のジャーナリスティックな視点を存分に吸収した、冷静かつ発想豊かなゼミ生たちが印象的でした。

萩谷順教授・プロフィール
萩谷順(はぎたに・じゅん)教授
(専攻:ドイツ現代政治、マス・コミュニケーション論)
1971年東京大学法学部卒。
朝日新聞入社。政治部・外報部を中心に活躍。カイロ、ウィーン、ボン各特派員、外報部次長、編集委員を歴任。ニュースステーションなどテレビ朝日系のニュース番組のコメンテーター、キャスターを務める。
2005年3月、朝日新聞を退社、同4月より法学部教授。TVコメンテーターや講演などジャーナリストとしても幅広く活躍している。