OB・OGインタビュー(2019年度)

LINE 株式会社 執行役員 ゲーム事業本部事業本部長 奥井麻矢 さん

  • 2019年04月16日
OB・OGインタビュー(2019年度)

プロフィール

LINE 株式会社 執行役員 ゲーム事業本部事業本部長 奥井麻矢 さん

LINE 株式会社 執行役員 ゲーム事業本部事業本部長 奥井麻矢 さん

奥井麻矢 (Maya Okui)さん

1987年大阪府生まれ。2010年キャリアデザイン学部卒業後、インターネット広告代理店に入社。2011
年NHN Japan株式会社(現LINE株式会社 )に転職。LINE GAMEの立ち上げに関わり、プロデューサーを経て、2018年ゲーム事業本部事業本部長。2019年1月執行役員に就任。(所属、肩書き等は本誌掲載時のものです。)

どんな仕事も、取り組み方次第で 自分の可能性を広げるものになる

「LINE GAME」に立ち上げから関わり、31歳にして約100人のメンバーを統括する奥井麻矢さん。
目の前のことに全力で取り組んでいれば、やりがいや面白さ、次のステップが見えてくると言います。

立ち上げから関わっ た事業の可能性をさらに広げたい

2016年7月、ニューヨーク証券取引所の上場セ レモニーを見届ける社内イベントの様子(中央左 端が奥井さん)

2016年7月、ニューヨーク証券取引所の上場セ レモニーを見届ける社内イベントの様子(中央左 端が奥井さん)

いまや日本人の2人に1人以上が利用しているコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」 。これと連携しているゲームアプリを手がけ、ゲーム事業本部を統括する役割として、2019年1月から執行役員そして事業本部長を務めています。

マネジメントや事業に関する意思決定、部内の打ち合わせ、アライアンス企業とのやりとり、部下からの相談と、30分単位で変わるので、頭を切り替えて目の前の仕事に臨んでいます。

LINE GAMEは、「LINE」でやりとりをする「友だち」とのスコアの競い合い、アイテムのプレゼントなどを通じて、コミュニケーションを活性化させるツールです。そのため、幅広い人が楽しめるシンプルさが大切。本格的なゲームアプリなら、機能をふんだんに盛り込むでしょうが、LINE GAMEでは、 「あればいい」程度の機能はそぎ落としていきます。

LINE GAMEの構想がスタートしたのは2012年7月。私自身はゲーム事業に携わったことはなかったのですが、逆にそういう人の感覚が役立つということで、立ち上げに参加することになりました。最初に担当した「LINE ポコパン」以降、シリーズ世界累計ダウンロード数6000万以上とヒットしたのは、タイミングや運、 スタッフに恵まれたおかげです。

個々のゲームを担当するのではなく、 それを作るメンバーをサポートする立場となりましたが、コミュニケーションを円滑化する新しい機能や仕組みを生み出して、LINE GAMEの可能性をさらに広げていきたいです。

4年間は将来を考える準備期間に

大学では、サークル「富士見サッカークラブ」に所属(右が奥井さん)

大学では、サークル「富士見サッカークラブ」に所属(右が奥井さん)

大学進学を前にして、世の中のことが何も分からないまま、これを学ぶ、将来はこれをやると決めてしまうと、選択肢を狭めてしまうような気がしました。そこで、大学の4年間で将来について考えようと思い、法政のキャリアデザイン学部に入学しました。

よく覚えているのが、毎回さまざまな職業の方が講師を務める授業で、業界の裏話や求められる人材について現場の声を聞くことができ、とても興味深かったです。小門裕幸教授のアントレプレナーシップ(起業家精神)をテーマとしたゼミにも参加しました。

就職活動をするころには「広告やメディアなど無形のサービスで、そこに自分が何らかの付加価値を加える余地があるか?」ということを大事にしたいと考えるようになりました。ちょうど就職氷河期でしたが、インターネット広告代理店に就職。少数精鋭の上、新入社員は私1人とあって、営業を中心に多くのことを経験できました。

もう少し違うことにも挑んでみたいと思い始めたころに、知り合いから誘われ、自社サービスを展開している点に引かれて現在の会社に転職しました。

マネジメント職で直面した上下の壁

プロデューサーとして10個ほどのゲームを手がけ、2014年にマネジャーになりました。初めは現場の感覚から抜けきれず、いわゆる上下板挟みに直面。キャリアや組織については多少なりとも考えてきたし、自分にもやれると思っていたのですが、実際に身を置いてみると意外に難しくて……。

上司の「上と下へのバランス感覚が肝心」というアドバイスもあり、上の話も下の話も聞いてみるようにしたところ、食い違いが生じるのは、立場によって視座が異なるからだとわかりました。そこで、自分より一つ上、一つ下の立場に立って考えることを意識すると、意図が理解ができ、よりよい判断ができるようになりました。特に、自分の視野だけで物事を見ず、想像をすることは大切だと思います。

リーダーシップを前面に出すタイプではないですが、方針の明確な提示、ポジティブな雰囲気づくりなど、メリハリを付けることと、自分の価値観を押し付けないことは意識しています。

最初は、現場を離れると勘が鈍る、寂しいとも思いましたが、今の立場だからできることもたくさんあり、それを楽しめるようになりました。

固執せず、全力で取り組めばおのずと自分の道ができていく

負けず嫌いに加えて、後悔したくないという気持ちが強いので、目の前のことには全力で取り組みます。また、人の気持ちも仕事も、世の中の状況も 日々変わっていくので、固執しないことを肝に銘じています。過去の成功にとらわれていては、そのそばから置いていかれてしまいますから。

以前は「やりたいこと」がないことにコンプレックスを感じていました。今は、これと道を一つに決めなくてもいい、全力で取り組むうちに次のステップが見え、その連続が結果的に自分の道になっていくと感じています。

社会人になると、仕事以外の時間が取れなくなり、自分の領域には精通しても、広く物事に触れる機会が減ります。 「どうせ……」という考えで狭めた可能性を、後から広げるのは大変です。皆さんにはぜひ、学生のメリットである豊富な時間と機会、法政のOB、OGを活用して、積極的にいろいろな人に会ってほしいと思います。

 

(初出:広報誌『法政』2019年3月号)