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株式会社電通東日本 人事部/ ARUKAS KUMAGAYA 所属選手 中村 知春 さん

2018年11月20日

プロフィール

株式会社電通東日本 人事部/ ARUKAS KUMAGAYA 所属選手 中村 知春 さん

株式会社電通東日本 人事部/ ARUKAS KUMAGAYA 所属選手 中村 知春 さん

中村 知春(Chiharu Nakamura)さん

1988年神奈川県生まれ。2007年キャリアデザイン学部入学。2011年株式会社電通東日本に入社。7人制ラグビー女子日本代表として、2014年アジア競技大会、2016年リオデジャネイロオリンピック、2018年アジア競技大会などに出場。2015年より、NPO法人ARUKASKUMAGAYAが運営するクラブチーム「ARUKAS QUEEN KUMAGAYA」に所属。

人生を変えた7人制ラグビー トップアスリートとして次の五輪に挑みたい

8月のアジア競技大会で見事、金メダルを獲得した7人制ラグビー女子代表「サクラセブンズ」の主将・中村知春さん。「ようやく2020年東京オリンピックへのスタートラインに立てたところ」と、気を緩めることなく体づくりとスキルアップに励んでいます。

何が起こるか分からないのが7人制ラグビーの醍醐味

大学時代はバスケットボール一色だったが、英語が好きで英会話の学習にも励んだ

大学時代はバスケットボール一色だったが、英語が好きで英会話の学習にも励んだ

普段は広告代理店で仕事をしながら、クラブチーム「ARUKAS QUEEN KUMAGAYA」で、ここ数年は日本代表に選ばれ「サクラセブンズ」でもプレーしています。
 
15人制と同じ広さのフィールドを約半数のプレーヤーが駆け回る7人制ラグビー「セブンズ」は、俊敏性、パワー、球さばきなど、一人一人が個性を発揮しやすいスポーツです。ボールがよく動き、めまぐるしく展開するので、「ボールを持った鬼ごっこ」のような面白さがあって、ルールを詳しく知らない人が観戦しても楽しめます。

チームスポーツは、難しいこと、考えなくてはいけないことも多いけれど、つらいときには仲間に助けてもらえて、勝ったときの喜びも大きい。特にラグビーは、チームメートだけでなく、相手チーム、レフェリー、そして観客への敬意も重んじるので、チームスポーツの極みだと思っています。

セブンズとの出合いと社会人1年目に訪れた転機

2016年1月、手首の手術後に訪れたフィリピン・パラワン島にてフィリピン代表チームと

2016年1月、手首の手術後に訪れたフィリピン・パラワン島にてフィリピン代表チームと

小学4年生のときに友達に誘われて始めたバスケットボールにのめり込み、大学でもバスケットボールを続けたくて一般入試で法政大学に入学しました。しかし、目標だった1部昇格は、残念ながらかなわないまま引退しました。

違うスポーツを始めようと考えていたときに、たまたまセブンズの練習を目にしたのです。バスケットボール選手時代は相手への接触によるファウルが多かったので、相手をつかんでもいい、ボールを持って走ってもいいラグビーは自分に向いている気がして、社会人チームに参加させてもらいました。就職先に広告代理店を選んだのは、広告ビジネス論の授業で広告に興味を持ったからです。セブンズを始めたのは内定をいただいた頃で、その直後にセブンズが2016年リオデジャネイロオリンピックの正式種目になることが決まりました。

まだ競技人口も少なく、他競技からの転向選手の育成に目が向けられたこともあって、運よく強化プログラムの合宿に声をかけていただけました。それが配属が決まった直後だったため、休暇をとれるかどうかを上司に相談したところ、「そんなチャンスがあるなら、ぜひ行ってきなさい」と背中を押してもらえました。そこから、ラグビーが私の人生の中でとても大きな存在になりました。

オリンピックで思い知った世界トップとの実力差

就職して最初の3年間ほどは、平日は会社の仕事でテレビやラジオの広告枠の買い付け、金曜の夜から週末いっぱいはラグビーの合宿、月曜朝に仕事へ戻る、という息をつく暇もない日々で、何度もラグビーをやめようと思いました。オリンピックの予選が迫り、「このままでは仕事もラグビーも中途半端になる」と考え、会社にはオリンピックまでの休職をお願いしました。

「体力面では欧米のプレーヤーに劣っていても、チーム力で補えば金メダルも夢ではない」と挑んだリオデジャネイロオリンピックでしたが、その考えがいかに甘かったかを思い知らされました。オリンピック以降は、一人一人が真のアスリートになることが先決と考え、専門家のアドバイスを受け、トップアスリートが実践しているトレーニング方法を取り入れて、体作りとスキルアップに励んでいます。

今ではチームで最年長となりましたが、年上だから、主将だからといって自分の価値観を押しつけることはありません。ただ、ラグビーを離れたときに一人の人間として魅力的であってほしいので、そういう点での指摘はしています。

初心を忘れず、大好きなラグビーに貢献していきたい

今の目標は2020年東京オリンピックで、前回の雪辱を果たすことです。アジア競技大会で優勝し、チームメートはうれし泣きをしていましたが、私は「ようやくスタート地点に立てたところ。まだまだ先がある」と考えています。

目標に向かう途中で行き詰まりを感じることは、誰にでもあるでしょう。そんなときは、少し視点を変えてみるといいかもしれません。私は、手首を骨折して2カ月間ラグビーができなかった時期に、一人でアジア各国の代表チームの練習に顔を出しました。そこで、多少下手でも目をキラキラ輝かせてプレーする彼女たちの姿を目にして、「ラグビーが楽しい、うまくなりたい」という初心を思い出すことができました。

東京オリンピックまでに真のアスリートになって、試合を楽しむ。その結果がメダルにつながれば何よりです。
ラグビーを続けられるのは、多くの方々の支援のおかげです。それに応えるためにも、将来は仕事との両立を模索しながら、女子ラグビーの普及、特にアジアの選手育成に貢献していきたいです。

(初出:広報誌『法政』2018年10月号)