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株式会社プロシップ 取締役会長 鈴木 勝喜 さん

2018年10月09日

プロフィール

株式会社プロシップ 取締役会長 鈴木 勝喜 さん

株式会社プロシップ 取締役会長 鈴木 勝喜 さん

鈴木 勝喜(Katsuyoshi Suzuki)さん

1941年愛知県生まれ。1964年に法学部を卒業、株式会社宮野鉄工所(現・シチズンマシナリー株式会社)に入社。同社にて米国駐在を体験。1976年に日本エム・アイ・エス株式会社(現・株式会社プロシップ)入社。1987年に代表取締役社長に、2006年に代表取締役会長に就任。鈴木氏からのご寄付により、2018年度「鈴木勝喜奨学金」が設立される。

「スペシャリティ」が会社や商品、そして人を成長させてくれる

30歳前に経験したシカゴ駐在で、ビジネスにはスペシャリティ(専門性)とスピードが大切だと実感し、それを会社経営に反映させたという鈴木勝喜さん。会長になった今も、アメリカ進出も視野に入れたグローバル展開を進めています。

シカゴ駐在で学んだスペシャリティの大切さ

3年間のシカゴ駐在時代によく訪れたLincoln Park in Springfield ILL

3年間のシカゴ駐在時代によく訪れたLincoln Park in Springfield ILL

企業会計には、税額を決定する税務会計、経営状況を外部に開示するための財務会計、そして経営意思決定に活用する管理会計があります。プロシップではこれらを一括して処理できる「ProPlus」というパッケージソリューションを提供しています。資産や在庫の評価については、企業によって考え方がまちまちなので、各社の要望に応じて細かいカスタマイズやシミュレーションを行えるものにしており、延べ4600社に導入いただいています。

私が「固定資産」に着目したのは、会計システムを作るのなら、他社と差別化を図れるものをと考えてのことでした。頻繁な制度改正など面倒な点が多く、敬遠されがちな分野にあえて挑んだのです。

プロシップの経営理念は「スペシャリティ・フォー・カスタマー」です。スペシャリティを持つことは、アイデンティティを確立すること。会社の成長にも、人の成長にも欠かせないものと考えています。

この考えのベースとなっているのは、前職でのシカゴ駐在の経験です。米国では、働いている会社ではなく、何を専門にしているのか、どのくらいのスキルを持っているのかで人を評価します。そして、日本と違って役割分担が明確で、自分の仕事に責任を持つ一方で、他人の仕事には手を出しません。ですから、営業に行っても、最初から担当者に応じてもらえ、その場で返答をもらえる。あのスピード感には驚かされました。

合気道とアメリカに出合った学生時代

1963年に大阪市中央公会堂で開催された学生合気道 全国大会の法政大学出場メンバー

1963年に大阪市中央公会堂で開催された学生合気道 全国大会の法政大学出場メンバー

法政の法学部に入学したのは、政治家になろうと考えていたからです。当時は、校門を入ると55・58年館の前に広い空間があり、後に総長になられた中村哲(あきら)先生の憲法の授業を大教室で受けたことを覚えています。

文武両道のためにと勧められて合気道を始め、大学の合気道会と、合気会(現・公益財団法人合気会)の道場での練習に明け暮れた4年間でした。3年生のときに、相模原の米軍キャンプへ合気道の指導に通うようになり、それまで見たこともない大型の自動車や分厚いステーキを目の当たりにして、「アメリカってすごい国なんだなぁ」と興味が湧きました。

政治家になるにはまずその秘書になるなどして10年ほど社会経験を積んでおいたほうがいいとアドバイスをいただき、工作機械の会社に就職。入社5年目に「英語のできる人はいるか?」と駐在員の交代要員の募集があり、迷わず手を挙げたという次第です。

ライセンスビジネスを展開し下請企業から脱却

日本のソフトウエア業界は、売り上げ8兆~10兆円、従事者約70万人という規模になった今でも、上流工程に当たる基本設計は顧客側が手掛けており、大半が下流工程のみを手がける下請け企業のままという状況です。

一方海外では、ソフトウエア会社側が著作権を持ち、使用権を設定するというビジネスに移行していきました。今でいうライセンスビジネスです。

私は日本のソフトウエア業界の状況を変えたいと考え、日本の独立系ソフト会社としては初めて会計システムをパッケージ化し、上場企業をターゲットにライセンスビジネスを展開してきました。

2005年にジャスダック証券取引所(現・東京証券取引所JASDAQ市場)に上場したのを機に、社長は若手に引き継ぎましたが、会長になってからも、中国の現地法人設立など、グローバル展開に関わっています。まずはASEAN諸国で、ゆくゆくはアメリカでもビジネスを展開しようと、準備を進めているところです。

ビジネスに必要なのは負けたくないという強い気持ち

米国のトップクラスの大学では、ほぼ毎週レポートが課されるなど、学生がとても鍛えられている感があります。スーパーグローバル大学となった法政大学の学生にも、4年間みっちりと勉強に取り組んで、グローバル社会で活躍してほしいと考え、2018年度から給付型の奨学金を提供させていただいています。

ビジネスは勝負の世界。負けたくない、伸びたいという気持ちが強くないと、苦しい場面を乗り越えられません。私の場合は、合気道でそういう力が培われたと思います。「若いときの苦労は買ってでもせよ」といわれますが、みなさんも、苦労を避けずに、困難を乗り越える体験を積み重ねてほしいと思います。

(初出:広報誌『法政』2018年8・9月号)