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株式会社東京・森と市庭 営業部長 菅原 和利さん

2018年07月17日

プロフィール

株式会社東京・森と市庭 営業部長 菅原 和利さん

株式会社東京・森と市庭 営業部長 菅原 和利さん

菅原 和利(Kazutoshi Sugawara)さん

1987年神奈川県生まれ。2006年、人間環境学部に入学。卒業後、奥多摩で活動を始め、2011年7月にアートマンズ株式会社設立。アウトドアウエディングやシェアビレッジなどを手掛ける。その後、1年ほど小田原の不動産会社に勤務。2013年10月株式会社東京森・市庭に入社、2016年1月に営業部長に。

木材で森と都市をつなぎ 東京の森・奥多摩を元気にしたい

大学のサークルで初めて訪れて以来、奥多摩の自然や人と関わり続けて12年目を迎えた菅原さん。
奥多摩の木材を活用して、森と都市をつなぐ事業に取り組んでいます。

林業の6次産業化で東京の森と都市をつなぐ

人工林は手入れが大事。元気な森は光が差し込む

人工林は手入れが大事。元気な森は光が差し込む

奥多摩の木材で森と都市をつなぐために、社有林の管理から木材の生産加工、木製品の販売まで「林業の6次産業化」に取り組んでいます。

多摩地域のスギやヒノキは、戦後の高度成長期までは足場材としての需要がありましたが、それ以降林業は衰退し、町は高齢化と過疎化が進んでいます。ですから、林業を再生することが町の活性化につながると考えています。

東京・森と市庭(いちば)では、多摩産材を使った床材や木製品の製造・販売、森での研修や木育、廃校になった小学校の活用(イベントや研修の会場、ロケ地など)などを手掛けています。中でも最も注力しているのが、保育園向けの遊具や家具の製造・販売です。幼い頃に、森で木がどのように育つかを五感で感じ、保育園で木製の積み木やベンチに日々触れてもらう。それが保育環境の向上に、そして東京の森と木のファンを増やすことにつながれば何よりです。

人間環境学部で出会った恩師と奥多摩自ら行動して切り開いた進路

サークル活動で月に数度奥多摩を訪れてい た学生時代

サークル活動で月に数度奥多摩を訪れてい た学生時代

子どもの頃から、近くの里山で魚や虫を捕るのが大好きでした。高校3年のとき、地球温暖化防止京都会議で議決された議定書の発効をきっかけに環境問題に興味を持つようになり、文系のアプローチで環境について学べる人間環境学部に入学しました。

現場で環境に触れる活動をしようと、サークル「水と緑フォーラム・HOSEI」に入り、そこで恩師・関口和男先生に出会いました。関口先生には、「見えないものを見る」「本質を追究し続ける」など、社会で生きていくための考え方、物事の捉え方を教えていただきました。

じっと座っているのが苦手で、授業よりも、行動して感じた疑問を関口先生はもちろん、民俗学や自然環境の先生に聞きに行くかたちで知識を吸収していきました。4年間奥多摩に通い、さまざまな人に出会って話を聞き、インターンシップで地域資源を生かすビジネスに触れるうちに、「自分で何かをやりたい」と強く感じるようになったんです。

就職氷河期の中、IT系ベンチャー企業から内定もいただいたのですが、奥多摩で自然を活かした事業を興していくことこそが自分の道と考え、「行動しなければ道は開けない。今なら失うものはない」と決心して、卒業の1カ月前に奥多摩に移住しました。

「自分にとって大切なもの」を見つめ直し一度は離れた奥多摩で再起

1年ほど準備をして、「人」を資源とする地域プロダクション会社を起業しました。大学では価値を消費するだけでしたが、ビジネスでは自分で付加価値をつくり、社会に発信していかなければなりません。また、学生時代は、もうけを出すことは悪いことで、いかに利他になるかが大切だと思っていました。しかし、それではビジネスは続けられません。起業したことで、「自利」と「利他」のバランスが大事だと気付かされました。

その後、家庭の事情で会社を休眠し、一度奥多摩を離れましたが、幸いなことに、奥多摩で始める事業に協力してほしいと声をかけていただけました。
今の会社の社長は、インターンシップのときにお世話になった方で、声をかけてくれたのは、奥多摩で活動を手伝ってくれた方。どんなことも決して無駄にはならないんだと感じました。また、折に触れ「自分にとって大切なもの、譲れないものは何か」という関口先生の問いかけを思い起こし、自分がぶれていないかどうかを確認しています。

自分が「ワクワク」することを大切に これからも森から価値を生み出し続けたい

学生は、勉強や旅行、インターンシップ、資格取得など、何にでも挑めます。やりたいことはどんどん出てくるのに、自分の能力が追いつかないというジレンマもあるでしょう。そんなときは、「自分が本当にワクワクすること」を大切にしてください。それをやり続けていけば、結果的に自分のやりたいことに近付けると思います。そうしたきっかけの一つになればと考え、東京・森と市庭でも2017年度から人間環境学部のキャリアチャレンジの学生を受け入れています。

私も、自分がワクワクすることを忘れずに、これからも、子どもたちが目を輝かせて遊べるまったく新しいものを生み出し、いろいろな人とコラボレーションをしながら「東京の森」から価値を生み出し続け、奥多摩を元気にしていきたいと思います。

(初出:広報誌『法政』2018年5月号)